おすすめの部屋は?トレインビュールームは??
2012年に創建の大正時の姿への復原された東京駅丸の内駅舎。その多くを占める東京ステーションホテルは、戦災で失われた3階部分も復原されリニューアルオープンとなった。重要文化財の中にあるホテルは、歴史的な建物を活かしつつ、より瀟洒でラグジュアリーなクラシックホテルとなった。
客室数は150で多くない。しかし、部屋の分類は多岐に渡る。スイートやデラックス、スーペリアと言った客室グレードはもちろんだが、335mという駅舎の長さのため、部屋の位置からの眺望により、更に細分化されているからだ。なので、東京ステーションホテル宿泊の第一歩は、悩ましい部屋選びから…
公式ウェブサイトの客室のページをじっくり見たが、まずざくっと言えば、眺望の無い部屋とある部屋に大別できる。
「クラシック」の名を冠する部屋は、ホームのある東側を向いている。ホーム側で一見、憧れのトレインビューを楽しめると思えるが、京浜東北・山手線の上に中央線ホームが配された2層構造のホームが真横で、眺望は無いに等しい。しかしそのため、この「クラシック」が、いちばん安く泊れる客室カテゴリーとなっていて、値段重視ならお勧めだ。
…と言っても一人4万程度は掛かり、宿泊料はとても高価。ならばいっその事、一万ちょっと追加し眺望のある部屋にしてもいいかもしれない。
眺望のある部屋で、このホテル独特なのが「ドームサイド」という、丸の内駅舎北ドーム・南ドームの内側に沿って配置された部屋だ。窓からは芸術品のような装飾をより近くで見られ、見下ろせばコンコースを人々が行き交う風景があり、このホテルならではの非日常的な滞在を楽しめる。その割に相対的に、宿泊料は安い方なのが嬉しい。
あとは外に窓が向いた部屋となっている。中でも眺めがいいのは駅舎中央付近に位置する「パレスビュー」という客室。眺望のある部屋でも、位置によっては目の前はビルだが、パレスビューの部屋は、悠然とした公園のような行幸通りや、その先の皇居外苑をも望める。「パレスサイド」という部屋もあり紛らわしいが、そちらは皇居側である西向きという程度の意味で、皇居外苑が見える訳ではない…らしい。
トレインビュールームは無いと思っていたが、公式サイトをよく見ると、二部屋あるとの事。一つが眺望が無いとされる「クラシック」の「スーペリアツイン」の内の一部屋。但し、駅施設に面しているため、全体的な眺めはいま一つと注釈付き。あと喫煙室なのが非喫煙者の私としては残念…
もう一つが「メゾネットスイートキング」。こちらは東京駅を発着する列車を一望の下にできるらしいが、高嶺の花か…。
やはり眺望がある部屋が良かったが、ドームサイドはリニューアル前に泊った事があるので、今回は違う部屋に。
散々迷った挙句、選んだのは最良の眺めを誇るパレスビュールーム。ダブルルームが良かったが、パレスビューでダブルになるとグレードが上がりより高価になるので、パレスビュースーペリアツインのシングルユースにした。
長い廊下を歩き丸の内駅舎を感じる…
東京駅到着後、軽く撮影をしてから、駅舎中ほどのホテル出入口から入った。
こじんまりとしているが、大理石を基調とした上品で落ち着いた雰囲気。暖炉の横には山形県から冬咲きの桜・啓翁桜が飾られ、もう春が来た心地に…
チェックイン後、客室へはベルパーソンの方に案内され客室へ。JR東日本ホテルズのフラッグシップだけあってサービスも上級感ある。
全長は長く廊下も長い。突き当りに来ると、ベルの人が「駅舎の中央付近です」と案内してくれ、更に曲がり少し進むと、自室に着いた。
自室のすぐ近くに、東京駅に到着後に出た丸の内中央口の様子が垣間見える吹き抜けの空間があった。あの人達のように、さっきここを通って来たのかと不思議な気分で行き交う人々を見下ろした。
良き眺めのパレスビュースーペリアツイン
今宵の部屋となるパレスビュースーペリアツイン・2016号室の扉を開けた…
部屋は縦に長く天井も高めなので、両側が壁に囲まれたか裏道のような雰囲気。右手にはクローゼット、バスや洗面所と言ったウェットエリアが続く。
そして奥に到達すると華やかな世界が広がった。瀟洒なヨーロッパ調の装飾が高級感漂わせる。クラシカルで贅沢な雰囲気だ。高い天井から吊るされたはシャンデリア調の照明が部屋を温かに照らしていた。
ただ、クラスの割に部屋はやや狭いかもと思った。使わないベッドがそう思わせたのかもしれないが…。でも自分には過ぎた部屋で十分に贅沢。
客室から駅前の夜景が広がっていた。最良の眺めを謳うパレスビューだけあって、きらめくビルの間の行幸通りがゆとりある風情だ。その先の皇居外苑は夜の闇の中…
高くても3階の低層階の客室で、駅前のざわつきはどうなのだろうと気にしていたが、ほとんど聞こえてこないレベル。一回だけ、列車走行時の振動をほんのかすかに感じだかなと言う程度だった。防音対策も万全だ。
ミニバーコーナー。コーヒー、紅茶、そして丸の内駅舎のイラストがあしらわれたホテルオリジナルのミネラルウォーターは無料。下には冷蔵庫がある。
ウェットエリアの洗面台。大理石造りの高級ホテルらしい雰囲気。右手にトイレがある。
そして左手にはバスルームがある。高級ホテルになると、バスタブの他にシャワーブースが設けられている場合が多いが、ここではひとつにまとめられ、バスタブに洗い場がある極めて日本のお風呂らしいスタイル。椅子まであった。日本人には、この方が安心できそう。
デスクの引き出しにはブックマーク、お洒落なステッカーが2点。ひとつは戦前の東京鉄道ホテル時代のレトロなラベル。思い出になるいい記念だが…持ち帰り忘れたのが痛恨の極み(泣)
ルームサービスのディナー
東京駅の夜景を存分に愉しみ、夜の9時過ぎに部屋に戻って来た。ディナーはルームサービスをオーダー。30分位で運ばれてきた。
頼んだのはホテル特製の黒毛和牛のビーフシチュー、こだわり野菜のシーザーサラダ。あとライス。サラダが思ったより大きくて驚いたけど、まあ野菜ばっかりだからいいよね…
明かりが一つ一つ消え眠りに就きゆく街を眺めながら美味しくいただいた。
朝食ビュッフェの後は館内散歩…
翌朝はお楽しみの朝食ビュッフェへ。週末や祝日はとても混むらしく、TVで混雑状況を確認できる。8時半に見たら、空いてると出ていたので、朝食会場となる4階中央部、駅舎屋根裏のゲストラウンジのアトリウムへ。
コロナウィルス対策で、全ての料理が小分けされていた。冷菜からホットミール、和食、デザートまで、小分けされた料理がカラフルに並び食欲をそそる。オムレツやステーキのライブキッチンも。
朝食後は、広い駅舎の中を散歩。行って帰ってくるだけで700m位はあり、たくさん食べた後にはちょうどいい運動(笑)
南側ドームサイドの客室廊下。八角形の形通りに廊下が曲がりくねっているのが面白い。
ドームには客室の他に、宿泊者専用フリースペースのアーカイブバルコニーも、ドームサイドの客室でなくてもドームの装飾を堪能できるのは嬉しい。
ドームの装飾は復原された駅舎を内部から愉しむ~東京駅丸の内駅舎づくしの旅[4]~をどうぞ。
廊下など館内のいたる所には、昔の写真、ポスター、図面や資料などが展示され、さながら鉄道資料館のよう。一つ一つ見て歩くのも、また楽し。
駅巡りの旅ではどうしても早い出発になりがちだが、折角またとない歴史的駅舎に泊っているのだからと、部屋でのんびりしよう。
外との気温差が大きく、窓には水滴がびっしり。下の方だけ拭いて、窓際で景色を堪能。皇居外苑が見えるパレスビュールームだが、少しビルが掛かり天気が悪い事もあってか、喜ぶほど皇居外苑は見えなかった。でもそれも行幸通りの眺めていると、いかに贅沢な小言かと思えてきた。
窓の外には雪がちらつき始めていた。今日はどんな丸の内駅舎を見られるのだろうか…
[2022年(令和4年)1月訪問](東京都千代田区)
- レトロ駅舎カテゴリー:
- JR・旧国鉄の三つ星レトロ駅舎
おまけ
東京駅地下のグランスタ東京で、期間限定で出店していた東京ステーションホテルの店舗で、お弁当を購入。
ローストビーフ、鮑ご飯、ハンバーグ、写真にはないがズワイガニのサラダなど、ホテルらしい贅沢な洋食弁当。冷めていてもローストビーフは特に美味しかった。
帰路の車内まで東京駅丸の内駅舎の余韻を味わいながら、旅を締めくくった。
東京ステーションホテルFAQ+
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お勧めの部屋カテゴリーは
より安めの宿泊料なら「クラシック」と付く東向きの部屋へ。但し高架ホームに遮られ眺望は残念。眺望のある部屋でこのホテルならではなのが「ドームサイド」。窓がドーム内側に向き、美しいドームの装飾や眼下のコンコースの風景が間近に。外に窓が向いた部屋で特に眺めがいいのが「パレスビュー」。真っすぐ伸びる行幸通りや、その先の皇居外苑も眺められる。
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外からでも壮麗な丸の内駅舎を堪能できるけど、あえて泊まる意味は?
ドーム側客室で無くても美しいドームの装飾が、より近くで堪能できる事。廊下に展示された昔の広告や写真など様々な資料が興味深く歴史感じさせる事。重要文化財の駅舎に泊る特別感…でしょうか。
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アトリウムの朝食ビュッフェは宿泊者でなくても利用できる?
基本的に宿泊者限定だが、日にち限定・事前予約制で宿泊者でなくても利用できる日が設定されている。予約はホテル公式サイトか直接電話で。
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宿泊の予算は最低どの位から?
「クラシック」カテゴリーの一番安い価格帯の部屋で朝食無しなら、1名1室で3万5千円位から、2名1室で4万円代前半から。但し宿泊時期、予約のタイミング、キャンペーン等により異なる。JR東日本株主、JRホテルメンバーの優待プランもある。