善通寺駅の木造駅舎、重厚でレトロな車寄せを愛でる…(JR四国・土讃線)



もしかしたら最古の現役駅舎かもしれない…

土讃線・善通寺駅の木造駅舎ホーム側

 琴平駅を訪れた後、一駅隣の善通寺駅で下車した。ここにも立派な木造駅舎が残っている。駅舎に面した1番ホームは幅が広く、その分、ホームを覆う上屋も大きく、支える木の柱は古び歴史を感じさせる。

 堂々たる主要駅の趣きだが、屈指の洋風駅舎で、こんぴらさん門前駅である事を強調したド派手な琴平駅を見た後だと、どうしても地味に見えてしまう。

土讃線・善通寺駅ホーム、国鉄駅らしさ漂うあプラットホーム

 とは言え2面3線のホームを有し、更に駅舎と反対側の現在は駐車場となっているスペースも、ホームらしき造りを残している。貨物ホームだったのだろうか…?

 2番ホームにも古めかしい上屋が残り、跨線橋も年代物だ。この1番、2番ホームの上屋と跨線橋は国の登録有形文化財に指定されている。

JR四国土讃線・善通寺駅、待合室にはセブンイレブンが

 内部はすっかり改修されイマドキの駅の風景。四国キオスクと提携したセブンイレブンも入る。このセブンイレブン、駅片隅の売店程度ではなく、街中のフルサイズの店舗だ。

土讃線・善通寺駅の木造駅舎、車寄せ越しに駅前を見る

 だけど駅を出ようとすると、木造の重厚な車寄せがどっしりと構えていた。レトロな車寄せをフレームに広がる街の風景が一味違って印象深い。

JR四国土讃線・善通寺駅、大きく改修されているが明治22年築の木造駅舎

 駅舎を正面から眺めた。車寄せは古いまま残っているが、それ以外の部分は和風にリニューアルされ、蔵のような雰囲気。しかし小奇麗な姿で佇むこの木造駅舎、駅開業の1889年(明治22)築。築120年越えと、とてつもなく古い。

 日本最古の現役駅舎としてJR武豊線の亀崎駅が広く知られている。1886年(明治19年)1月築とされるが、1895年(明治28年)に火災に遭い、本屋(駅舎)が全焼したと記録に残っている。しかし全焼したのは駅長官舎だけとの記録もあり、今となっては真相は定かではない。しかし、駅舎全焼が正しければ、この善通寺駅舎が現役最古という事になる。

土讃線・善通寺駅、明治の木造駅舎は和風に改修

 壁は和風の格子窓で飾られ、黒い腰壁は石材風。上屋は柱まで新しいものに変えられ、まるで和風建築の回廊のような趣。2005年にも訪れているが、既にこんな感じだったと記憶している。

土讃線・善導寺駅前街並の向こうにそびえる山々

 駅前は整備され、駅から伸びる道の先には小高い山がそびえるのが印象的だ。

 善通寺駅は善通寺市の中心駅で、駅の西側に市街地がある。駅名の通り、1キロちょっとの所に、四国霊場75番札所で空海生誕の地の善通寺がある。また高校野球で有名な尽誠学園も駅近くだ。

改修木造駅舎のレトロで風格ある車寄せ

土讃線・善通寺駅駅舎、古く重厚な車寄せは大正11年に増築されたもの

 和風にリニューアルされた木造駅舎で、使い古され風格まとう車寄せは異彩を放つが、レトロで深い味わいを感じさせる。本屋は1889年(明治22年)築だが。この車寄せは1922年(大正11年)の陸軍大演習の際に改修で設置されたものという。

 この駅本屋も登録有形文化財に指定されている。二つのホーム上屋と跨線橋も1922年築。現在も陸上自衛隊の善導寺駐屯地が置かれているが、旧陸軍時代には何倍もの規模の師団が置かれていた。1922年に師団の威光に見合ったような駅に改修されたのだろう。

土讃線・善通寺駅舎、車寄せに掲げられた電飾の駅名表記

 車寄せ妻面のハーフティンバー風の造りに、電飾の駅名表示が設置されている。琴平駅にも、以前はこんな駅名表示が正面に掲げられていたものだ。

土讃線・善通寺駅、横から木造の車寄せを眺める

 右横から見るとよりどっしりとした造りが感じられる。裏面の木の造りや、頑丈に造られた柱もいい味わいだ。将校達が階段を下りこの車寄せを通る一瞬、善導寺駅はさぞ威厳に満ち溢れていたのだろう。

土讃線・善導寺駅の木造駅舎、車椅子用スロープが設置されバリアフリー化

 左横を見てみると、車椅子用のスロープが設置され、現代のものと大正のレトロものが見事に融合していた。

土讃線・善通寺駅、重厚でレトロな車寄せを支える木の柱

 木の柱には大正以来の歴史が刻み込まれたかの如く、幾重もの木目が深く刻まれていた。来年2022年でこの車寄せも百歳だ。

[2021年(令和3年)7月訪問](香川県善通寺市)

レトロ駅舎カテゴリー: 三つ星 JR・旧国鉄の二つ星レトロ駅舎