比婆山駅 (JR西日本・芸備線)~社殿風の木造駅舎と気になるモノ…~



比婆山駅、駅舎と風景

芸備線・比婆山駅、廃止されたホーム跡と周囲の風景
比婆山駅の反対ホームは廃されて久しいがまだ残り、まるで遺跡のよう。周囲は山里の長閑な風景が広がっていた。
芸備線・比婆山駅、駅舎と廃止番線
駅舎とホームの間にはレールの存在を感じさせる空間があった。こちらは貨物用だったのだろうか…
JR西日本芸備線・比婆山駅、社殿風の木造駅舎が現役
木造駅舎は付近の熊野神社にちなみ社殿風。曲線を描き反る屋根や車寄せの懸魚といった和風の造りが小駅ながら神々しさ漂う…
芸備線・比婆山駅、昔の駅時刻表が使いまわされた木の駅名看板
駅名看板はどこかの駅時刻表だった古い木の板を再利用したもの。醸し出す雰囲気はもちろん「一・二等」という表記が歴史感じさせる。
芸備線・比婆山駅、池のあるミニ庭園
駅舎の横には池のあるミニ庭園がある。植栽もきれいに整えられ、駅の癒しの空間だ。
芸備線の秘境駅、比婆山駅の駅前
芸備線に沿って国道314号線が並走し、駅前にはこじんまりとした集落が形成されている。駅前商店は現役。
芸備線・比婆山駅の木造駅舎、古びた待合室
正面は外壁が改修されているが、待合室は昔の造りを比較的良く残す。
そしてホーム側の屋根や柱も古い木の造りを残し味わい深い。
JR西日本芸備線・比婆山駅、120形の広島支社色
三次行きの列車がのんびりとやってきた。1日5本のうちの貴重な一本だ。

比婆山駅訪問ノート

 比婆山駅の開業は1935年(昭和10年)12月20日。開業当初の駅名は備後熊野駅だが、1956年(昭和31年)に現在の駅名に変更となった。

 比婆山は駅から北に直線距離で約11㎞んにそびえる標高1299mの山で、日本神話の国生み神話女神の伊邪那美が埋葬された地との伝承があり、伊邪那美命を祭るのが熊野神社だ。

 駅舎は開業の昭和10年以来のもので、熊野神社にあやかってか、小駅ながら神社を思わす社殿風の造りがユニークだ。

 鳥取、島根、広島ともまたがる中国山地のこの一帯は比婆道後帝釈国定公園に指定されている。同国定公園内には名勝として知られる帝釈峡があり、熊野神社もあり行楽色のあるこのような社殿風の駅舎にしたのかもしれない。しかし現在、比婆山駅からそれら観光スポットへの公共交通は無く、歩くには距離が離れすぎているため、錆びれた無人駅と言った空気が漂う。1日の乗客は数人程度という。

 しかし今ではひっそりとしてしまった駅でも、駅舎横の池のある庭園はきれいに整えられている。こういった池は、もう少しで秘境駅と言えるような駅ではほとんどが枯れてしまっている。

 駅前商店(これも今や貴重!)で買い物をした時に、初老の店員さんにこの池について話題を振ってみた。すると、枯れていて池の底にはひび割れもあったけど、地元の有志で修復し維持していると教えてくれた。寂れた感は否めないが、それでも地元の人々にとって駅は集落のシンボルなんだなとしみじみと感じた。

[2012年(平成24年) 7月訪問](広島県庄原市西城町)

~◆レトロ駅舎カテゴリー: 二つ星 JR・旧国鉄の二つ星レトロ駅舎

あの駅名が書かれた看板、元はどの駅にあったのか…

 やはり気になる“あの”レトロさ漂う駅時刻表を使いまわした駅名看板。元々はどこの駅にあったかを、自分なりに考察してみました。下記の記事へどうぞ。

比婆山駅「あの」古い駅時刻表、どこの駅のものだったのか…?

比婆山駅の駅名看板、一・二等、日豊経由など浮き出た文字