秘境駅で独り桜を愛でる春 4月、えちぜん鉄道の駅に咲く桜を堪能した一ヵ月後、桜前線は北へ駆け抜け、東北に春の訪れを伝えていた。 かつて訪れた秘境駅を数年振りに訪れた。 古ぼけて寂れた待合室を 覆わんばかりの見事な八重桜は 今まさに花盛り。 人がやって来ない 秘境駅だからこそ、 一人静かに桜を愛でる事が叶う。 ( 女鹿駅 (JR東日本・羽越本線) ) もう貨物列車しな来ない駅で 旅客営業が休止された路線の終着駅。 桜に囲まれた鉄路を 不意に一両のディーゼル機関車が コトコトと駆け抜けていった。 古く歴史感じさせる駅構内の建物が 桜のじゅうたんで彩られていた。 ( 小坂駅付近 (小坂精錬) ) 花輪線 打ち棄てられて久しい石積みのホームを 花壇にしているかのように、 賑やかに桜の木が並んでいた。 ほとんどが散り果ててしまったが、 一本だけ見事な花を咲かせていた。 太い枝から一輪だけ ひょろりと桜の花が伸び出ていた。 何十年後かには いくつもの花を装った 立派な枝に成長している事だろう… ( 八幡平駅 (JR東日本・花輪線) ) 集落の一面一線の小さな駅。 春のこの時だけ、桜の園になる。 まるで桜の園と現実世界を 別つ門のように、 駅の出入り口の上を桜が覆っていた。 気動車がヘッドライトを 照らしながらゆっくり入線してきた。 突然、 闇の中で咲き誇ったかのように 桜が浮かび上がった。 ( 小屋の畑駅 (JR東日本・花輪線) )