ミニマムでシンプルな和風駅舎
御室仁和寺駅訪問ノート
御室仁和寺駅は1925年(大正14年)、京福電鉄の起源の京都電燈時代に開業した。当初は「御室駅」という駅名だったが、2007年(平成19年)に現在の駅名となった。
仁和寺を控え和風の造りが印象深いた木造駅舎だ。しかし軌道線…路面電車の駅であるためか、小さな切符売場があるだけの駅事務室に上屋が掛けられただけと、きわめて簡素な設備だ。この駅構造は琴電の元山駅と似たような造りで、中小私鉄の昔ながらの小駅と言った感じなのだろう。
しかし寺社のような車寄せや、そこにある懸魚など和風の装飾や模様、ホーム側の屋根を支える持ち送り、出札口の造りなど、随所にちりばめられた和の粋が印象深い。由緒ある寺社の門前の駅はこうでなければとしみじみと感じさせた。
仁和寺は平安時代の888年(仁和4年)宇多天皇の御代に落成した。そして宇多天皇が出家し、境内に御室と呼ばれる僧坊を建てて住んだため、仁和寺は御室御所と称された。江戸時代末期まで皇族との関わりは深かったという。
仁和寺は平安京のちょうど西北の外れにある。都から離れ山々を控えた閑静な場所に立地する寺院はきっと後生を願うのにはいい地だったのだろう。京都市街地の雑踏からから離れ落ち着いた立地にある古刹と、その前に佇むちっぽけな和風駅舎は、時代を超えた現代でもそんな雰囲気を漂わせていた。
[2016年(平成28年)1月訪問] (京都府京都市右京区)
~◆レトロ駅舎カテゴリー: 私鉄の三つ星駅舎~