上呂駅(JR東海・高山本線)~夕陽に染められ深み増す木造駅舎~



数々の高山本線の駅を訪れた後、上呂駅へ…

 4月のある日、青春18きっぷを手に、高山本線の駅を巡る旅をしていた。このきっぷは普通列車にしか乗れないが、丸1日有効で、JR在来線全線に乗車できる。1日あたり二千円ちょっとと格安なのはもちろん、乗車区間が細かく決められていなく、思い立ったら、気まぐれに途中下車できるのも大きなアドバンテージで、乗り鉄だけでなく、駅めぐりの旅にもぴったりの切符だ。

 行ったり来たり、降りたり乗ったりを繰り返し、この日、最後に下車したのが上呂駅だった。

夕刻、高山本線、萩原町にある上呂駅に降り立った。

 昼間、この駅を通り過ぎる時、濃い茶色の渋めの駅舎が気になって、後で下車しようと思っていた。降り立ったのは山の背後の日が沈もうとしている頃で、駅と街はほんのりと赤く染まっていた。

 下呂温泉で有名な下呂町の北隣、萩原町の中程にある駅で、下呂の対のように、上呂という駅があるのが面白い。(※1)

JR東海・高山本線・上呂駅、木の渋い質感が味わい深い木造駅舎

 列車が去るのを見送り、無人の待合室を通り抜け、駅舎を見てみた。列車の中からも、濃い茶色い木の壁面の駅舎が気になったが、正面から見ると、想像以上に使い込まれた木の質感が素晴らしかった。そんな駅舎が夕陽に染め上げられ、より情感豊かに浮かび上がる様がまたたまらない。

 駅舎は1933年(昭和8年)の駅開業時以来のものだ。出入口上の木枠の採光窓と、横の木製の手作り風の駅名看板が、素朴な木造駅舎に変化を与えながら雰囲気にマッチし、駅舎全体が渋めのいい味を醸し出している。

岐阜県萩原町、高山本線・上呂駅、昭和初期からの年月が染み付く木造駅舎。

 駅舎左の方に掲げられた、「上」「呂」「駅」と、一字毎に独立した、プラスチック?の駅名の看板は、まるで小さなローカル駅の自己主張のようで面白い。背後には新緑の小高い山が鎮座し、山中の駅ような雰囲気溢れる。反対の西側にも小高い山が遠望できるが、駅周辺はそこそこ開けていて、住宅も立ち並び、車の交通量も多い。

 ムードある木造駅舎だが、窓がサッシ枠に取り替えられているのは、少々残念な気もする…。でも、この駅舎には、そんな事ちっぽけな問題だ。

高山本線・上呂駅の木造駅舎、採光窓や木の駅名看板がユニーク。

 今回の駅訪問の旅は、やや欲張り過ぎた為、1駅1駅の印象が薄くなってしまった感は拭えなかった。そんな中、最後の最後、この上呂駅の木造駅舎は、ひときわ印象的で私の心に深く刻み込まれ、この旅の満足感はとても大きなものにしてくれた。

 上呂駅にいられたのは30分程度だが、今度はもっとゆとりを持って訪れたい。駅周辺をもっと歩いてみたい。駅でボーっとしているのもいいかもしれない。ひたすら駅舎を堪能するように…。

[2003年(平成15年) 4月訪問]

~◆レトロ駅舎カテゴリー: 三つ星駅舎 JR・旧国鉄の三つ星駅舎

上呂駅基本情報+

会社・路線名:
JR東海・高山本線
駅所在地:
岐阜県下呂市萩原町上呂610 (※訪問時は萩原町。合併により2004年3/1より下呂市。)
駅開業日:
1933年(昭和8年)8月25日
駅舎竣工年:
1933年(昭和8年)。※開業以来の駅舎
駅営業形態:
無人駅
その他:
・濃飛バスの高山‐下呂線が、ほぼ高山本線に沿ったルートを走る。詳しくは濃飛バス・路線バスのページへ。