駅と駅舎の旅写真館 -railwaystation.jp-

八東駅(若桜鉄道・若桜線、木造駅舎)


八東駅訪問記と写真

若桜鉄道・八東駅のプラットホームと、貨物用の側線跡。
(八東駅の構内配線、側線跡も残る。)

 若桜鉄道のレールバスで運転室の横に立ち、いわゆる「かぶりつき」をしていた。

 八東駅がどんどん近づくと、プラットホーム横に行き止まりのプラットホーム跡が残っているのが見え驚かされた。ローカル駅なれど、まるでターミナル駅を思わす堂々とした構内配線だ。側線跡の後ろには駅舎が配置されているので、このホーム跡は、側線の貨物用ホームだったのだろう。側線跡を見ると、かつては2~3線以上の側線があったと思われるが、現在ではホームの間が埋められたり、舗装されたりしている。かつて、この駅では貨物の取り扱いが盛んに行われていたのであろう。今でも遺跡のように、その痕跡が残っている様に心魅かれる。

若桜鉄道・八東駅、プラットホームの上にある木造待合室。
(プラットホーム上には木造の待合室がある。)

 側線跡が印象的な配線だが、今は旅客用の1面1線しか使われていない。ホーム上には古めかしい木造待合室がポツンと残っている。1954年(昭和29年)築とかなり古く、2008年には、八東駅の駅舎とプラットホームと共に、国の登録有形文化財に登録された。

 待合室の横には、1本の松が寄り添う。この松もきっとかなりの年月を経ているのだろう。古い松と待合室、そしてのどかな田舎風景…、何十年も昔のローカル線の風情がいまだに残っている。

若桜鉄道・八東駅、旅客用ホームと埋められた側線跡。
(側線跡は埋められている。)

 プラットホームと側線跡を見渡した。側線のプラットホーム跡は島式の2線で、数両程度の長さと短いながらも幅が広く、埋もれた今でも立派で堂々とした佇まいに映る。

駅舎へのスロープ沿いに植えられた松
(プラットホームから駅舎への通路。)

 駅舎はプラットホームよりやや離れた所にあり、スロープで繋げられている。スロープ脇には松が植えられているのがゆとりを感じさせいい風情だ。

若桜鉄道・八東駅、木造駅舎らしいムードの駅舎ホーム側。
(木造駅舎らしいムード溢れる駅舎ホーム側。)

 かつての改札口付近は、ラッチが撤去され窓が塞がれるなど、改修の手が入っている。しかし木の質感や古びた漆喰が古い木造駅舎らしく、年月を経た渋味のある雰囲気を十二分に漂わしている。

若桜鉄道・八東駅の木造駅舎。隼駅とほぼ同型だ。
(若桜鉄道、八東駅駅舎。隼駅と同型の木造駅舎だ。)

 八東駅には、1930年(昭和5年)築の駅開業以来の木造駅舎がいまだ現役だ。サッシ窓に換えられているのがやや惜しいが、木の質感がよく残り、素朴な雰囲気だ。どちらかと言うと小型の駅舎だが、三角屋根の車寄せが大きめに造られ、そのせいか大きく見える。同線の二つ郡家寄りの隼駅も、この駅舎とほぼ同型だ。

 車寄せの前に、登録有形文化財の記念碑が設置されている。

若桜鉄道・八東駅駅前の風景。
(八東駅駅前。)

 駅前はこじんまりとしているが、奇麗に整備されている。八東駅のある八東町は、2005年周辺町村との合併により八頭(やず)町となった。合併前は旧町名を冠していて中心駅だったよう思えるが、丹比駅の方が旧町役場スーパーマーケット、銀行があるなど町の中心駅だったようだ。しかし、八東駅の駅前を歩くと、昔のローカル線の駅前らしいこじんまりとした町並みが残り、どこか心引かれた。

若桜鉄道・八東駅駅舎待合室内部。昔のムードを留める。
(待合室は昔の造りを留める。)

 駅舎内待合室は、手小荷物窓口跡は塞がれ大きく改装されているが、全体としては木の質感をよく残し、昔ながらの風情だ。造りつけの古い木製ベンチもそのままだ。

若桜鉄道・八東駅出札口。簡易委託でまだ使われている。
(簡易委託で出札口も使われている。)

 かつての駅事務室は、現在ではある会社の事務所として利用されている。八東駅はその会社が切符を販売する簡易委託駅となっている。出札口はほとんど塞がれているが、窓口のカウンターは昔の木製のものを流用していた。木目が露で使い込まれた雰囲気を放ち、今でもこんなものが現役で使われているとは、昔からの設備を上手く利用している。今度、この駅を訪れた時は、昔さながらに、この窓口で切符を買いたいものだ。


[2009年4月訪問]

追記: その後の八東駅

 埋まっていた側線の貨物ホーム跡が、若桜SL遺産保存会の手により2010年から2011年に掛けて掘り出され、往時の姿を取り戻した。そして2011年、そのホーム跡に、昔、国鉄若桜線でも走っていた有蓋緩急車・ワフ3500形(ワフ35597)が留置・保存されるようになった。ワフ3500形は半分が車掌室、半分が貨物室という貨物取り扱いが少ないローカル線に対応した車両。長い間、宇都宮貨物ターミナル駅で放置されていたものを、貨物ホーム復元の一環として、わざわざ買い取った。

 そして2015年の前半あたり、貨物ホーム跡の上に木造の貨物上屋まで再現された。

 2015年に八東駅を再訪すると、以前、駅舎に入居していた会社は撤退していて、変わって「ひとやすみ」というカフェが入居していた。詳しくはひとやすみのFacebookページまで。

復元された八東駅貨物ホームと木造の上屋。緩急車・ワフ3500形。
( 復元された八東駅貨物ホームと木造の上屋。緩急車・ワフ3500形。(2015年8月) )

八東駅・基本情報+

鉄道会社・路線:
若桜鉄道・若桜線
駅所在地:
鳥取県八頭郡八頭町見槻中
駅開業日:
1930年(昭和5年)12月1日
駅舎竣工年:
1930年(昭和5年)※駅開業以来の駅舎
駅営業形態:
簡易委託駅

若桜鉄道の駅を巡る旅

隼駅
※八東駅とほぼ同型の木造駅舎。スズキのバイク・GSX1300Rハヤブサの聖地!
安部駅の池庭跡
※ホームの片隅にひっそりと…。