茶臼山駅 茶臼山駅の駅舎は味気無い簡易駅舎に建て替えられてしまった。 しかし桜は相変わらず枝いっぱいの花を咲かせている。 プラットホームには、無数の桜の花びらが散り落ちている。 時折、風が駅を通り抜けると、桜の花びらがふわっと舞い上がり 北の方に軽やかに駆けていった。 駅舎の陰には、落ちた桜の花びらが寄せ集められている所があった。 ああ、誰かが掃除して掃き集めたのだなと思っていた。 その時、優しい風が吹いた。 すると駅前に散らばっていたたくさんの桜の花びら達が、一斉に舞い上がり、 風の形を作っているかのように、静かに同じ方向に流れていった。 そして最後に、くるくると小さな渦を作りながら あの桜の塊に集まっていた。 散り果てた仲間とともに最後の旅をするように… 普段は何とも無いありふれた駅の風景でさえ、桜によって美しく彩られる。 野田城駅 桜並木が見事な野田城駅に再び降りてみた。 でも、心なしか数年前の春よりも 豪勢さが感じられない。 木は最盛期を過ぎ、衰えが始まっているのだろうか…。 よく見ると、駅に近い側の枝が短くなっているのに気付いた。 電線など駅の設備に掛かるのが不都合で、 切られてしまったのかもしれない。 それでも、満開の桜並木は見事だ。 周辺では、カメラを構えた人々が何人もいて 野田城駅が最も華やかで美しい この瞬間を捉えようとしていた。 東上駅 今度は野田城から一駅の東上駅で降りた。 木造駅舎の横に伸びる大きな桜の木は、 傾きかけた太陽の光をその身いっぱいに浴び輝いていた。 桜の木の横を、列車が今日もゆく。 下りホームの構内踏切横にも、桜の木が植えられている。 植えられてからそれ程経っていたいためか、 駅舎横の桜の大木に比べ、小さくか細さが際立つ。 枝にはささやかにいくつかの花が咲いている。 だけど、何十年もすると私を覆いかぶさる程立派に成長し、 華やかに花を咲かせているのだろう。 2本の桜の競演…、 何十年か後には、そんな春の光景を見る事ができるのだろう。 小坂井駅 この旅の締めに、豊橋から3駅目の小坂井駅。 駐車場脇の2本の対の桜は今年も見事な花を咲かせていた。 以前、訪れた時は、小坂井駅の木造駅舎は取り壊し中だった。 木造駅舎に寄り添う満開の桜という風景を見ることは叶わなかった…。 駅と桜を赤く染めながら、陽はいつの間にか姿を隠そうとしていた。 飯田線南部、桜駅めぐり「その1」もどうぞ! 奥三河の無人駅で桜を愛でるように愉しむ旅~