駅と駅舎の旅写真館 -railwaystation.jp-

羽前成田駅 (山形鉄道・フラワー長井線、木造駅舎)


山形鉄道に残った素朴な木造駅舎・羽前成田駅

山形鉄道・フラワー長井線、羽前成田駅の開業以来の木造駅舎
( 改修されているが開業以来の木造駅舎が残る羽前成田駅。)

 羽前成田駅には国鉄長井線時代からの木造駅舎が残っている。フラワー長井線はちょっと前までは木造駅舎が色々残っていたらしいが、西大塚駅など残った木造駅舎は少なくなっている。羽前成田駅はリニューアルされながらも古い駅舎が存えているのは嬉しい。外壁が白いトタン板で覆われていて、眩しいような白さがかえって印象的だ。駅の開業は1922年(大正11年)。その当時から使い続けられている駅舎だ。

羽前成田駅、機の造りが残る車寄せ。
( 車寄せには木の造りを残す。)

  車寄せはリニューアルされながらも木の造りを残している。

羽前成田駅、木の質感豊かな駅舎側面
( 側面は木の質感豊かだ。)

  外壁はリニューアルにより木の味わい失われた感があるが、側面を見ると、木の造りをふんだんに残していて、木造駅舎らしさを垣間見せる。こちらは休憩室などに近い駅員用の出入口だったのだろう。どこか民家の〝勝手口〟的な雰囲気が漂っているのが面白い。

羽前成田駅、側線跡は廃れている
( 廃れた側線ホーム跡。)

 駅構内の上り方面・長井方には、貨物用の切欠きホーム跡が残っている。ただ1981年(昭和56年)に、この駅での貨物取り扱いは廃止となったとの事。それから30年もの月日が流れ、雑草や土で埋もれ、でどんどん風化している…。

羽前成田駅の木造駅舎、待合室
( 待合室内部。)

 待合室には誰かが持ち込んだソファーが置かれている。古い駅舎だが、室内はきれいに掃除されていて快適だ。

羽前成田駅駅舎、作り付けの木製長椅子。
( 作り付けの木製ベンチ。)

 木製の造り付けベンチがまだ残っていた。長い間…そして今もなお使われ続けすり減らされ、木目が目の前に迫るかのように浮き出ている。

 ベンチはピタッと真っ直ぐではなく、微妙に程よくガタガタ感がある所が手作業的な雰囲気が漂う。大工さんがひとつひとつ木を組み釘を打っている様子が伝わり、一層の温かみを感じる。ガタガタ感は、もちろん見た目だけの話で、座るとびくともしなく安定している。

羽前成田駅の木造駅舎、完璧に原形を留めた窓口跡
( 完璧に原形を留めている窓口跡。)

 無人駅となっているが、出札口、手小荷物用の二つの窓口跡は見事なまでに原形を留め感嘆させられた。まさに、この駅が出来た大正時代にタイムスリップしたかのような心地で、窓口の向こうに今でも駅員さんがいるのではないかと思えてくる。

羽前成田駅の窓口跡、手小荷物窓口跡
( 手小荷物窓口跡。)
羽前成田駅駅舎内部、出札口(切符売場)跡
( 出札口(切符売場) )
羽前成田駅、出札口カウンターを支える持ち送り
( 木製のカウンターを支える持ち送り。)
羽前成田駅、笠付き裸電球。
( 出札口に取り付けられた電灯。)

 手小荷物用窓口跡の引戸、出札口跡の木目浮き出るカウンターや、木のままの窓枠・・・、カウンターを支える持ち送り…。驚くほどに昔の造りをそのまま残している。おそらく出来てから、ほどんど改修されていないのだろう。じっくりと見ていると、一つ一つの部品に年月が刻み込まれたかのような味わいが宿り、隅々まで刻まれたディテールに圧巻される。

羽前成田駅駅舎、ホーム側の風除室内部。駅名標。
( 風除室となっている駅舎ホーム側。)

 駅舎のプラットホーム側は、軒下が壁で覆われ、密閉できる風除室になっている。雪深く寒い地域ならではの造りだ。壁面を良く見ると、木や漆喰など昔ながらの造りを良く残していた。そして掲げられている駅名標は木製で相当に古い。

羽前成田駅、鉄道林が駅を厳しい気候から守っている
( 鉄道林が厳しい気候から駅を守っている。)

 貨物の側線跡から駅を眺めた。鉄道林がレール沿いにずらりと並び、昔から変らず、駅と列車、そして乗降客を冬の厳しい風雪から守っている心強い存在だ。


[2010年4月訪問](山形県長井市)

追記: その後の羽前成田駅

 2012年、駅舎が大改修された。特筆すべきが、外観が昔の木造駅舎の姿に戻されるように改修された事で、外壁は白いトタン板が外され木の板に、窓枠が木製に、風除室の壁の撤去など、よくここまでやったなという徹底振り。私の中では、東京駅丸の内駅舎に負けない程の駅舎の復原だ。

 加えて、駅前住人の方々による「羽前成田駅前おらだの会」による、駅活性化の活動が、この駅の魅力を更に深いものにしている感がある。(駅舎復原の様子も同会ブログに)


 2015年8月4日、羽前成田駅の駅舎が同線の西大塚駅駅舎と共に、国の登録有形文化財に登録された。

木造駅舎改修後の羽前成田駅。
( 改修後の羽前成田駅木造駅舎(2016年8月) )

羽前成田駅基本情報まとめ

鉄道会社・路線名
山形鉄道・フラワー長井線
駅所在地
山形県長井市成田1882-2
駅開業日・略歴
・1922年(大正11年)12/11- 国鉄長井線・長井‐鮎貝の延伸時に開業 。
・1984年(昭和59年)3/19 - 簡易委託化。
・1987年(昭和62年)4/1 - 国鉄からJRへと民営化。
・1988年(昭63年)10/25 - 第3セクター鉄道・山形鉄道へと転換。フラワー長井線となる。
・1997年(平成9年)4/1- 無人化。
駅舎竣工年
1922年(大正11年)※駅開業以来の駅舎
駅営業形態
無人駅

山形鉄道の駅

西大塚駅、木造駅舎の旧駅務室内部
※外観同様、昔の造りを良く残す内部。たまにイベントが開催される。

窓口の造りが良く残り印象的な駅舎

隼駅(若桜鉄道)
※スズキのバイク・隼の駅として人気となり、内部は隼駅グッズなどを売る店舗に。
出雲八代駅(JR西日本・木次線)
※木造駅舎。木次線の駅によく見られる形状の窓口。