レトロで印象深いホーム側の佇まい
降雪による身延線計画運休に振り回され、早々に身延線から脱出した。降り続く雨にうんざりし、もう三島駅前に取ったホテルに行こうとしたが、早く着きすぎるのも癪。なので、道中、東海道本線の駅をちょっと訪れようと思いついた。
東田子の浦駅を訪れた後、夕刻、原駅で下車した。島式ホームの上屋は古レールでがっちり支えられていた。
1番線を見ると、駅舎の隣にレンガ造りの小屋が目に入った。昔は油を保管したランプ小屋…、あるいは危険品庫、油庫というものだ。改修された駅舎にあって、何とも古めかしい。聞く所によると原駅開業の明治33年(1900年)以来のものという。
駅舎に繋がる1番ホームの上屋の柱や骨組みは古い木造。長年、風雨に晒され続けてきた柱は風化し木目浮く。左手前の柱はガタがだいぶ来ていて、歪んですらいる。ランプ小屋同様、こちらも駅の歴史を感じさせる。
その左手前の柱は歪んでいるだけでなく、盛大にヒビが入り裂けそう。改修の手が入ったのか、大きく削られた部分もある。
宿場町風の木造駅舎は新築のごとし
もう夜の帳が降りつつあるが、完全に暗くなる前に駅舎を撮影しようと外に出た。
原駅は、戦後の1948年(昭和23年)地区の木造駅舎が健在だが、なまこ壁や格子窓など和の要素を取り入れた和風駅舎に改修されている。近くに東海道の13番目の宿場町・原宿があった歴史にちなむのだろう。なので宿場町風駅舎と言った所だろうか?
見た所、ありふれた木造駅舎らしい原形はとどめていなく、大きく改修されているのだろう。それでも新築同様に改修されてまで使われ続けているのは凄い事だよなあと思う。
駅舎前はロータリーが整備されていて、ロータリーに沿って駅舎出入口からは上屋が整備されている。ある程度の乗降客がある駅ではこういうふうに整備されている場合もある。撮影しずらいが、今日のような雨の日は利用者にはありがたい。
ウィキペデアに載っている2018年の駅舎の写真には、上屋は無く駅舎前にタクシーが直付けされているので、このロータリーは比較的、近年に整備されたようだ。
駅舎のスロープ前には、原駅百周年記念碑がひっそりと置かれていた。
切符売場や待合室がある内部は外観以上に古さを感じなく、最近、建てられた駅舎かのよう。だだっ広いが昔はキオスクでもあったのか、もっと待合室らしいスペースがあったのだろうか。
待合室の片隅には原地区の産業や名産品を展示したショーケースが置かれていた。今でも見るが、昔は街の玄関たる駅には、よくこんな展示があったもの。
食品よりも工業製品の紹介が目立った。原はものづくりが盛んな地域のようだ。
原駅から去ろうとする頃、すっかり夜になっていた。
それにしても夜の闇に浮かぶ木の回廊やランプ小屋、そして駅舎の美しい事よ…
[2024年(令和6年)2月訪問](静岡県沼津市)
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