津山線輪行&ゆるポタ駅巡り



~津山線と因美線のレトロ駅舎を列車と折りたたみ自転車で巡る旅(1)~

津山線を国鉄型気動車に乗って…

 山陽新幹線で岡山に到着した。そして輪行袋に入れた折りたたみ自転車・ダホン(DAHON)K3を担いだ。いちばん遠い津山線ホームまでの移動は少ししんどかったが…

津山線のキハ40、3種の国鉄色編成の列車(岡山駅)

 津山行きが出発する9番線には、3両編成のキハ40国鉄気動車が控えていた。しかも前から、たらこ色+急行色+オレンジと肌色のツートンとそれぞれ塗装が違う。鉄道ファンにとっては豪華なレトロ編成。

 しかしよく見ると津山行きは最後尾の車両のみで、あとは回送。最後尾のオレンジと肌色のツートン…通称「ノスタルジー」と呼ばれるキハ40に乗り込んだ。

 輪行では、嵩張る自転車の保持を第一に考えなければいけない。なんとか車端のロングシート部に席を確保したが、だんだん席が埋まって来て、K3を押さえながら小さくなるように座った。

津山線・キハ40-2134「ノスタルジー」車内

 しかし混んでいたのは最初の15分位。30分もするとだいぶ空いてきたので、K3ごとボックスシートに移動し、ゆったりと車窓を眺めた。

 最初の下車駅に選んだのは、半分化されたけど味わい残る玉柏駅でも、明治の木造駅舎が残る建部駅でもなく弓削駅だ。

弓削駅、津山線国鉄型気動車キハ40・ノスタルジー色

 やっと来た、よっしゃ!と思いホームに降り立った。まずは袋に入ったままのK3を置きノスタルジー車両と記念撮影…

JR西日本津山線・レンガ積みのホームが印象的な弓削駅

 明治の木造駅舎はもちろん、レンガ積みのホームも味わい深いなあと思い眺めた。

 弓削駅には2003年に訪れて以来、実に19年振りの下車。弓削駅は駅巡りを始めた初期の頃訪れた思い出のある駅。車窓から見たひまわり畑を見て、急に下車しようと思い立った。暑さがピークの午後、ひまわり畑まで歩いた。そして駅に戻ってくるとまだ時間があり、駅前の食料品店で買った冷麺などを、待合室に置かれたテーブルに広げ遅めの昼食を取ったものだ…。そんなきまぐれに降りた駅での何気ない楽しいひと時が、今に繋がってるのだと思う。

弓削駅でDAHON_K3を展開し津山線沿線ポタリングへ…

 駅を一通り撮影した後、遂にK3を展開、出発の準備は整った。いつも見ているが、旅の空の下で、こうしてK3を見るのは新鮮でいっそう心躍る。

Dahon k3で遂に!弓削駅から誕生寺駅へ走る

 弓削駅から遂にK3で漕ぎ出した。

 津山線沿線を北上するつもりだが、まずは国道53線を走った。久米南町の中心部で、一車線ずつの道は交通量が多い。基本、車道側を走る事が多いが、道幅が狭くトラックなど大型車も多く、怖くて歩道側に退避した。

久米南町の風景、夏、国道52号線沿いの青々しい水田

 市街地を過ぎると水田が広がる風景に。まだ青々しいけど、空に向かうように少しずつ背を伸ばす稲が眩しい。

 さて、国道ばかり走っていてもつまらないので、地図を見つつ横道に逸れた。周囲の風景と道の感じからして、上り坂が予想されるけど。

岡山県久米南町、津山線沿線のありふれた街

 名もなき道、観光地でもないありふれた田舎風景…、車窓から見たこういう風景の中に入る事にずっと憧れていた。そのために折りたたみ自転車を買ったんだよなぁ。喜びでわくわくしながらペダルを漕いだ。

 しばらくすると、やっぱり上り坂が現れた。坂になるときつくても足をつきたくないと意地になって漕ぐもの。しかも、蚊かアブが何かが盛んに絡みついてきて鬱陶しいよ…

DAHON_K3で走る久米南町、山間の青々しい水田

 目の前に田んぼの風景が開けた。日本の原風景のような癒される眺めに足を止めてしばし見入った。

岡山県久米南町、坂の上から見下ろす街の風景

 坂は短く上り切ると、下り坂の先に町が見えた。一気にあの町を目指そう!

新築のような木造駅舎、誕生寺駅

津山線・誕生寺駅ホームと木造駅舎、大きな桜の木

 坂に身を任せ一気に下ると、誕生寺駅が目の前に現れた。大きな桜の木が一際、目を引いた。

JR西日本津山線・誕生寺駅舎とDAHON_K3

 誕生寺駅正面にまわり、まずは駅舎と記念撮影。相変わらず自分が入る気は無いのだけど(笑)

 誕生寺駅に来たのは2回目。木造駅舎は開業の1898年(明治31年)以来のもの。2003年、津山線に乗った時、車窓から古めかし過ぎる佇まいを目にしていたが、2004年に大きく改修された。

 そして2004年か2005年あたりに降り立った。明治の木造駅舎らしいが、ピカピカに改修され、特に待合室内はお役所かどこかの公共施設のよう…。明治という歴史を思うと、その無機質さに言葉を失ったものだった。まるで新築のようだった。

津山線・誕生寺駅に停車した国鉄色キハ47形気動車

 でも外観はレトロさが良く再現され、国鉄型気動車がよく似合う。改修後18年とそれなりに過ぎているとは言え、屋根や柱の木はまだ綺麗な平面。でも少し年季が入ったかな…?

津山線・誕生寺駅の廃止されたホーム跡と農業倉庫

 元々は列車の行き違いのできる2面2線の相対式ホームだったが、片面は使われなくなり久しく廃れている。その奥には農業倉庫があった。かつては誕生寺駅からも農作物が出荷されたのだろうが、これと言った物は置かれていなくひっそりしていた。

亀甲駅へ…

 続けて北に向けて走り出した。

岡山県、夏の久米南町、国道53号線美咲町との境界線付近

 国道53号線を走り、久米南町から美咲町へ…

岡山県美咲町、因美線の無人駅・小原駅

 国道から小原駅(こばらえき)が目に入った。駅と言えば立ち寄らずにはいられない。そして…

久米南町、鶏で有名な中島ブロイラーの鶏のから揚げ

 途上にあった鶏肉店「中島ブロイラー」で買った鶏のから揚げを開け、おやつのような昼食のようなひと時。この中島ブロイラー、結構な人気店のようで、人家まばらな国道沿いにありながら、昼時を迎え店舗は行列。反対車線側の駐車場には車が盛んに出入りしていた。

 衣が薄い鶏のから揚げは、鶏の味がより身にしみ美味しかった。肉団子にも手が伸びそうになったが、多過ぎで、暑い夏空で長い時間持ち歩くと食中毒の危険がありやめておいた。

岡山県美咲町、こじんまりとした道を走り亀甲駅へ…

 再び走り始め亀甲駅が近づき、国道から離れた。細いサイクリングロードのような道を走り、街の中心部を目指した。

岡山県美咲町、亀甲駅近くの街並み

 美咲町の中心地となる亀甲駅周辺の市街地は、車が行き交う国道53号線より離れた低い位置にある。駅に近づくと、昔ながらの雰囲気を残した街並が見えてきた。

津山線・変な駅舎として有名な亀甲駅

 目的の駅には、でっかい亀が鎮座していた。ちっちゃなK3は踏み潰されるか喰われてしまいそう…。化物のこの亀こそ亀甲駅の駅舎だ。読み方は「かめのこう」。駅近くに亀の甲羅のような岩がある事からその名が付いたそうな…。変な駅特集なんかがあると、青森県のJR五能線・木造駅と共に、必ず取り上げられる駅舎だ。


 さて…、とりあえず亀甲駅までは走ろうと思っていたけど。この先はどうするか決めていなかった。津山駅までは10㎞程度なので、このまま走って行ってもよかった。普通に走ったら1時間ちょっとで津山駅に着きそうだ。だけど折角、乗車券を持っている事だしと思い、列車でひとまず津山駅まで行く事にした。それに暑くて少々疲れた…

 商工会議所の日陰を借り、自転車を輪行袋に収納し、ホームに向かった。

JR西日本津山線の終点、津山駅に到着。

 僅か13分で楽々、もう津山駅に着いた。鉄道は偉大だなあ。

今回の記録は…(by Strava)
走行距離 : 9.95km
経過時間 : 2時間15分22秒
実走行時間: 56分36秒
平均速度 : 10.5km
最高標高 : 185m
獲得標高 : 107m

[2022年(令和4年8月)]