吉井駅、駅舎と風景
吉井駅訪問ノート
木造駅舎の左側の待合室部分だけに四角く出っ張っていて、その屋根の部分は板のようなもので覆われた看板建築のようなレトロでハイカラな造りが印象的だ。看板建築とは、建物の正面だけ洋風など凝った造りにした建築様式で、大正の関東大震災後から戦後あたり建てられた商店によく取り入れられた。
その部分を除けば、横長の半切妻屋根というありふれた造りで、上信電鉄では南蛇井駅や上州福島駅や山名駅に似ている。
個性的な木造駅舎が多く残る上信電鉄だが、なぜこの形なのだろう…。吉井駅のある吉井町は2009年に高崎市に編入されるまでは独立した自治体だった。なので町の中心駅として利用者が増加していき増築されたのか…?それとも、最初からある程度の需要が見込まれ、標準型の駅舎をアレンジしたものになったのか…
駅の開業は1897年(明治30年)5月5日という古い歴史を持つ。駅舎の建築年は不明だが、wikipediaによると戦前築で、現在の側線ホーム跡にある保線区事務所付近に建っていたが、道路拡張工事のため、曳家で現在の位置に移動されたとの事。
吉井駅は上信線沿線に点在する7~8世紀の石碑でユネスコの「世界の記憶」に登録された「上野三碑(こうずけさんぴ)」の一つ「多胡碑(たごひ)」の最寄駅で、吉井駅発着の三碑を巡るバスも運行されている。
[2018年(平成30年)4月訪問](群馬県高崎市吉井町)
レトロ駅舎カテゴリー: 私鉄の二つ星レトロ駅舎