東松江駅、駅舎と風景
東松江駅訪問ノート
東松江駅の開業は、加太軽便鉄道時代の1930年(昭和5年)の12月1日だ。
当時、和歌山市駅方面へは現在の紀の川駅経由と違い、南東に進み北島駅を経由し、紀の川を渡り至っていた。
紀の川駅への現在のルートが開業したのは1944年(昭和19年)。2.6㎞の路線は松江線と呼ばれた。当初は貨物線だったが、南海電気鉄道となって3年後の1950年(昭和25年)7月25日には松江線での旅客営業が開始され、加太線系統のメインルートになった。
北島経由の旧線は存続したが、その僅か1か月と少し後に台風で紀の川の橋梁が破損し、北島支線として残った北島駅‐東松江駅間も1966年(昭和41年)21月1日に廃線となった。
…と、路線は意外と複雑な経緯をたどっているが、現在の木造駅舎は1948年(昭和23年)の南海電鉄時代に建てられたもの。私鉄の小駅らしい小ぶりさだが、垣間見せる木の質感に味わい深さを感じるいい駅舎だ。
しかし現在ではプラットホーム端の方に改札口、窓口と言った、駅の機能は移されている、南北どちら側からも駅に出入りでき利便性は向上。改札を通らなくても通りぬける事ができるため、列車利用でないよく知った地元の通行人の姿も…。
築70年越えの駅舎も今では単なる入口と言った感じだ。しかし、細部に味わい深さは残し複雑な変遷を見届けてきたこの駅舎は、いつまでも佇んでいてほしいものだ…
[2020年(令和2年) 3月訪問](和歌山県和歌山市)
~◆レトロ駅舎カテゴリー: 私鉄の一つ星駅舎~