東松江駅 (南海電鉄・加太線)~静かに余生を送っているような木造駅舎~



東松江駅、駅舎と風景

南海加太線・東松江駅、木造駅舎とホーム端の駅事務室
東松江駅で降りると、ホーム端の狭いスペースに改札口や窓口あった。古い木造駅舎は残るが主機能はこちらに移った感…
南海加太線・東松江駅、木造駅舎ホーム側
北側にある木造駅舎はなかなかの雰囲気。本屋の機能は譲っても大御所のように佇む。
南海加太線・東松江駅、駅構内の井戸跡
トイレの方に進んでみると古井戸の跡が残っていた。椅子のようにお洒落にアレンジされているのが面白い。
南海電鉄加太線、東松江駅を通る「めでたい電車 かい」編成
ちょっと座っていると、加太線名物の「めでたい電車」かい編成が走り抜けていった。
南海電鉄加太線・東松江駅、県道7号線沿いの木造駅舎
木造駅舎は南海電鉄となった翌年の1948年(昭和23年)築という古い歴史。築堤上に建つがバリアフリー化されている。
南海加太線・東松江駅、駅舎横の木造便所
隣の木造トイレも同じくらい年季が入っている。
南海加太線・東松江駅の木造駅舎、待合室
駅舎側にも小さな待合室がある。扉で閉じられない東屋スタイルだ。
南海加太線・東松江駅の木造駅舎、塞がれた窓口跡
窓口は塞がれているがカウンターの造りは残っているのに魅かれる。
南海電鉄加太線・東松江駅、木の質感豊かな木造駅舎
内部は倉庫として使われているよう。一歩退いた感はあるが、味わいあるこの木造駅舎もいつまでも佇み続けてほしいものだ。

東松江駅訪問ノート

 東松江駅の開業は、加太軽便鉄道時代の1930年(昭和5年)の12月1日だ。

 当時、和歌山市駅方面へは現在の紀の川駅経由と違い、南東に進み北島駅を経由し、紀の川を渡り至っていた。

 紀の川駅への現在のルートが開業したのは1944年(昭和19年)。2.6㎞の路線は松江線と呼ばれた。当初は貨物線だったが、南海電気鉄道となって3年後の1950年(昭和25年)7月25日には松江線での旅客営業が開始され、加太線系統のメインルートになった。

 北島経由の旧線は存続したが、その僅か1か月と少し後に台風で紀の川の橋梁が破損し、北島支線として残った北島駅‐東松江駅間も1966年(昭和41年)21月1日に廃線となった。

 …と、路線は意外と複雑な経緯をたどっているが、現在の木造駅舎は1948年(昭和23年)の南海電鉄時代に建てられたもの。私鉄の小駅らしい小ぶりさだが、垣間見せる木の質感に味わい深さを感じるいい駅舎だ。

 しかし現在ではプラットホーム端の方に改札口、窓口と言った、駅の機能は移されている、南北どちら側からも駅に出入りでき利便性は向上。改札を通らなくても通りぬける事ができるため、列車利用でないよく知った地元の通行人の姿も…。

 築70年越えの駅舎も今では単なる入口と言った感じだ。しかし、細部に味わい深さは残し複雑な変遷を見届けてきたこの駅舎は、いつまでも佇んでいてほしいものだ…

[2020年(令和2年) 3月訪問](和歌山県和歌山市)

~◆レトロ駅舎カテゴリー: 一つ星 私鉄の一つ星駅舎