伊豆箱根鉄道のサイクルトレインで愛車と共に
田京駅から折りたたみ自転車で韮山の反射炉などを巡った後、韮山駅にやってきた。ここから同じ駿豆線の三島二日町駅まで列車に乗る。
駿豆線では混雑する時間帯を除いた昼間、自転車をそのまま列車に載せられる「サイクルトレイン」のサービスをしている。鉄道と自転車の旅が好きな私には嬉しいサービス。愛車と共に、是非利用したい。
1列車6台までの制限があり、利用するには事前の予約が必要。だが、そんなに堅苦しいものではなく、駅にあるインターフォンで、今から乗りたいと伝えると、運転席後部の乗車を指定され完了。切符を買うと自転車ごと改札口を通りぬけ、ホームで列車を待った。平日はこれから乗る韮山発15時15分が三島行きのサイクルトレインとしては最終だ。
列車に乗り込み運転席後部に陣取った。近くには他の乗客もいる。もし倒したら、危ないからサイクルトレインはやめようという事になったら目も当てられない。なので、手でしっかりと自転車を保持しながら列車に揺られた。
車窓から見たレトロな駅へ…
十数分で三島二日町駅に到着した。
配線は1面1線の棒線駅。ホームは古レールに支えられた上屋に覆われていた。
この日は、伊豆箱根鉄道の駅舎巡りと、韮山反射炉を見ようと言う大雑把なプランがあった。しかし細かい時刻は決めていなく、三島二日町駅に訪れる予定は無かった。
しかし修善寺行き列車から見た、この木枠の窓に思わず魅かれ後で降りてみようと決めた。木枠の窓のある駅舎は、レトロなムードを駅に添えているかのようで味わい深い。
窓口は、自動券売機がはめ込まれながらも昔の造りを残していた。木のカウンターやその支えが昔ながらで趣ある。
無人駅だが、朝、ほんの一部の時間帯は係員がいるらしい。でも窓口は廃れ気味で、もう使われていないようだ。
駅舎を外から眺めようと、出口に向かった。古びた木の骨組みの向こうに見える、上部に曲線が入った柱…。えもいわれぬレトロな佇まいに期待は高まる。
駅舎を正面から見てみた。木造モルタル造りの駅舎は簡素なれど、そこはかとなくレトロな趣きを漂わせていた。
狭い駅前の敷地は、有料の自転車駐車場となり、びっしりと自転車が並ぶ。しかし最初の数十分は無料なので、私も恩恵にあずかり自転車を安心して止められ駅舎観察に専念…
縦長の窓と、腰の高さ位に線のように巡らされたスクラッチタイル。さり気ない洋風のムードに心魅かれた。
色々な要素がレトロなムードを醸し出す駅舎。
三島二日町駅の開業は1932年(昭和7年)12月15日。駿豆線の起源となる豆相鉄道の三島町(現・三島田町駅)‐南条駅(現・伊豆長岡駅)間が1898年(明治31年)5月に開業していたが、それに34年遅れての開業だ。1924年(大正13年)の修善寺開通よりも約8年遅かった。
この駅舎は何年築かは不明という。でもこういうむせ返るほどの古さやレトロさは無いが、洋風の要素を取り入れたと思うと、開業時か昭和10年代だろうか…?
奥から駅舎を見渡してみた。こちら側にも木枠の窓が残っていた。
駅舎内の窓口以外の部分は、扉などで完全に仕切られていないガレージの様な雰囲気で、やや殺風景。ホームからスロープが設けられ、その他の部分は自動販売機置場と化している。スロープ脇には、僅か数人分のベンチが置かれていた。かつての待合室…、いや今でもそうなのだろうが。だけど、昔はもっと待合室らしかったのかもしれない。
周辺をブラブラしていると、駅舎脇の水場に豆タイル張りのコンクリートシンクを発見。こちらも相当古そう。駅舎と同い年だろうか…?
駅舎を踏切から見てみた。出札口とちょっとした待合室だけの、いかにも中小私鉄らしい小ぶりな駅だ。
修善寺行きの列車がやってきた。アニメのラッピングトレインから復刻塗装まで、駿豆線の車両はバラエティーに富むが、目の前の車両は普通の塗装の1300系。だけどヘッドマークは温泉むすめ・鉄道むすめのコラボヘッドマークで、華やかなムードを添えていた。
さあ、ここからは三嶋大社、そして三島駅前のホテルまでひとっ走りだ。
[2024年(令和6年)2月訪問](静岡県三島市)
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