早月加積駅(富山地方鉄道本線)~エンタシスの柱が特徴的な木造駅舎~



北陸本線横に佇む小さな駅でしばしの列車ウォッチ

 富山地鉄本線・富山行きの列車から早月加積駅の細長い1番線で下車した。

富山地鉄本線・早月加積駅に到着した元京阪10030形電車

 1番ホームは、駅舎に近い反対の2番線と、併走する複線の北陸本線に挟まれていて、ホームは肩身が狭そうな細さだ。

早月加積駅、並走するJR北陸本線を走る特急はくたか

 だけど、その代わり北陸本線を走る列車を間近に見る事ができる。降りたすぐに、越後湯沢行きの特急はくたかが走り抜けていった。

早月加積駅横を走る北陸本線の特急北越

 こじんまりとした列車が走る富山地鉄と違って、特急列車、長大編成の貨物列車など、重厚感のある列車が複線の路線をどんど走り抜けてゆく。今度は485系リニューアル車使用の金沢行き特急北越だ。

 JR北陸本線は、地鉄本線の西滑川駅あたりから経田駅手前までの約10㎞、ぴったりと並走している。しかしJR魚津駅と接続する新魚津駅と滑川駅以外はずらして設置されているのがライバルとして意識しあっているのが見られ面白い。

古色蒼然とした雰囲気が漂う駅

富山地鉄本線・早月加積駅、駅舎ホーム側

 ホームから駅舎を見た。軒が壁でしっかりと覆われているの富山地鉄らしいスタイルをこの駅も持っている。冬は積雪も多いのだろう。

早月加積駅、2面2線の相対式プラットホーム

 プラットホームは列車交換ができる2面2線の構造を有している。駅前に民家は並ぶものの北陸本線の更に向こう側は田畑で、駅が利用者で賑わう事もない昼下がりで、どことなく長閑な雰囲気が漂っている。

富山地鉄本線・早月加積駅の木造駅舎、改札口付近

 古いままの造りが残された改札口付近は、木の造りをふんだんに残しているのが印象的で木製ラッチもそのままだ。かつての駅事務室の中を見てみると、古い造りを残しながらも、機械をあれこれ収納したごっつそうなラックがデンと占拠していた。列車運行関連の機械なのだろうが、この光景を見ると、今や木造駅舎はこの機械を収納している入れ物に過ぎないのかと思えてくる。

富山地方鉄道本線・早月加積駅、古色蒼然とした木造駅舎

 早月加積駅の木造駅舎は、ありふれた素朴な外観をしている。一部がトタン板で修復されているものの、ほとんど手入れされていないのか、壁面や車寄せなど木のままの部分が古び色あせていて、古い木造駅舎の味わいというか年月を経てなお佇む姿に凄みを感じさせる。とは言っても、駅の開業は戦後の1950年(昭和25年)3月23日だ。この駅舎がそれ以来のものとしても、木造駅舎としては新しい方と言えるだろう。それでも60年の月日が流れているが・・・。

早月加積駅、駅舎正面の古い駅名表記

 駅正面の車寄せ上の部分に「早」「月」「加」「積」「驛」と一字づつ書かれていたであろう木の板が、モルタルの壁面に直接打ち込まれている。古び具合といい味わいのある表記だが、古びすぎ風化してしまい、「早」と「驛」が判読できる程度だ。

富山地鉄・早月加積駅の木造駅舎、エンタシスの柱

 ペンキさえも塗りなおされず古びていくままとなっている車寄せ。この車寄せを見ていると、柱の下方が僅かに膨らんでいるような形状をしているのに気づいた。エンタシスと呼ばれる造りの柱だ。普通に真っ直ぐの柱でもいいのに、さりげなく何と凝った事をするのだろう!

 富山地鉄はいつくもの鉄道会社が合併し今に至っているが、そのためか、今も多く残っている古い駅舎は個性豊かで面白い。早月加積駅は1943年の富山地鉄成立後に出来た駅だが、会社が変わっても建築道楽的な気風が脈々と受け継がれ、こんな所に現れているのだなと思うと嬉しく、なんとも感慨深く見える曲線だ。

富山地鉄本線・早月加積駅の待合室、古い発車案内

 改札口上には、電光表示の出発ホーム案内板が設置されている。無人駅となった今、使われている様子は全く無い。

富山地鉄本線・早月加積駅の木造駅舎、古びた待合室

 駅舎内部の待合室も、見事に古いままだ。窓口跡は板で塞がれているものの、原型はよく残り、雰囲気は十分に留めている。改装された地鉄の駅では、木目がプリントされた板に替えられた場合もあるが、使い込まれた木のままの造りが残され味わい深い。木目プリントの板に替えられると、やはり軽々しく安っぽい雰囲気になってしまう。もし改装されるのなら、今のままの雰囲気を生かして欲しいものだ。

富山地鉄本線・早月加積駅の木造駅舎、窓口跡の木のカウンター

窓口跡の木のカウンターもいい質感だ。カウンター跡は二つあり、左側の待合室に対し直角に配されたこのカウンター、そして右側の斜めに配された方。左が荷物用、右が出札口なのだろう。

富山地方鉄道・早月加積駅、広告付き鏡

 待合室には広告付きの鏡が張り付けられていた。古い駅舎が残る富山地鉄には、レトロさを感じさせるこんな鏡が残っているのをよく目にする。鏡と広告の間に四角い穴が4個開いているのは何だろうか?時計屋さんの広告だけあって、昔は月日や曜日が変えられるようになっていて、駅員さんが日々変えていたのかも…

富山地鉄・早月加積駅、壁の鏡

 そして、駅舎ホーム側の方にも、なぜか鏡が掲げられていた。上の鏡広告と違って木枠なのが気になる。水場の上にあったので、駅員さんが作業の合間の手洗いついでに覗き込んで、身づくろいをしたのだろうか・・・。

[2010年(平成22年) 9月訪問](富山県滑川市)

~◆レトロ駅舎カテゴリー: 三つ星 私鉄の三つ星駅舎


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