秩父駅旧駅舎(秩父鉄道) ~移築され余生を過ごす洋風木造駅舎~



秩父駅旧駅舎と風景

秩父鉄道、移築保存された洋風建築の旧秩父駅舎
秩父鉄道の駅巡りをした後、夕刻、秩父市内の公園に移築された洋風の旧駅舎をどうしても見たくてタクシーで駆け付けた。
秩父鉄道、移築された旧秩父駅舎、塔屋や半切妻の車寄せ
塔屋を載せた造り、敷き詰められた黒い瓦、半切妻の車寄せと周りの洋風の装飾… 全てが味わい深い。
秩父鉄道、旧秩父駅舎の前のレトロな丸ポスト
駅舎の前にはレトロな丸ポストが置かれ昔の駅さながらの風景。このポスト使えない展示品だ。
秩父鉄道・秩父駅旧駅舎、かつてのホーム側部分の造り
反対側のかつてのホーム側に回ってみた。こちらもムードある造りだ。
秩父鉄道、秩父駅旧駅舎、凝った軒支えの造り
軒を支える持ち送りの造りや、斜めの板張りも凝っている。

旧秩父駅舎訪問ノート

 秩父駅の旧駅舎は、前身の上武鉄道時代の1914年(大正3年)に開業時からのものだ。吹き抜けの明り取りの塔屋を載せた造りが特徴的で、広い屋根にびっしり詰められた黒い屋根瓦や、半切妻の車寄せが味わい深い洋風木造駅舎だ。設計は地元秩父出身の坂本朋太郎氏と言われている。

 駅舎建て替えにより、1984年(昭和59年)に、現在の秩父聖地公園に移築保存された。2001年には国の登録有形文化財に指定。

 移築保存されたのは素晴らしいが、裏が墓場というのが最初はちょっと…と思った。でも取り壊されるよりよっぽどいい。それにお墓で眠っているいのはほとんどが秩父市民なのだろう。なのでそこで眠る方々にとっても、長年慣れ親しんだ秩父駅舎が側にあり、もしかしたら喜んでいるのかもしれない。そして古き駅舎にとっても、市民に寄り添うように「第二の人生」を過ごすのは、とても良い事だ。

 内部は秩父市立民俗博物館として利用されていたが、私の訪問時は既に閉館となっていた。また隣接して明治築の洋風建築の校舎、大宮学校も移築されていたが解体された。しかし、部材は保管されているとの事。

 通常は非公開だが、お彼岸やお盆の時期など、不定期ではあるが無料休憩所として開放される事がある。
(※公開がある場合、秩父市の広報誌「市報ちちぶ」で事前に告知されているようである。
秩父市公式ウェブサイトの市報ちちぶのページから各号のPDFファイルへ。)

[2009年(平成21年) 11月訪問](埼玉県秩父市)

~◆レトロ駅舎カテゴリー: 私鉄の保存・残存・復元駅舎