石北本線・下白滝駅の荒れた庭園跡と古駅舎



秘境駅の寂れた庭園跡

 丸瀬布駅からタクシーで下白滝駅に乗りつけた。線路両側を小高い山に挟まれた空間の駅前には牧場がある以外、建物はほんの数軒だ。

白滝シリーズ、石北本線・下白滝駅、改札跡横の池庭跡

 開業の1929年(昭和4年)以来の古い木造駅舎が残るが、元々の木材とは違った素材の板が所々にあてがわれ補修されている。年月を経た木材と交じり合い、駅舎の継ぎはぎ感が印象的な駅舎だ。

 改札口跡の横の、背の低い松が生えている一帯が気になった。枯枝が積み上げられ、随分と荒れている…。

JR北海道・石北本線・下白滝駅、枯枝だらけの池庭跡

 気になって近づき良く見ると、松の前に掘られた穴のようなものがあり、たくさんの枯枝が棄てられていた。この穴…、恐らくは池だったのだろう。松はこの池に添えられたささやかな植栽だ。

石北本線・下白滝駅、ホーム上の枯池

 池の縁はかすかにこんもりと盛り上がり、かつてここが池のある庭園だった面影をかろうじて残している。こびりついた苔が年月を感じさせる。

 更に探るように池の内部をじっくり見ようとしたが、枝が多すぎてよく解らない。しかし、池の縁取りに岩が使われている事は、なんとかわかった。

JR北海道・石北本線・下白滝駅、木造駅舎横の池庭跡

 きっと池庭に水が湛えられていた頃は、古い木造駅舎とあいまっていい風情だったのだろう。周囲には木々や花々なんかが植えられていたのかもしれない…。

 しかし一年の3分の1以上が雪で覆われるだろう極寒の地に、よく池のある庭園なんかを作ったものだと思う。でもそんな寒い地だからこそ、雪が消え、草木の緑が深まり、太陽の光を反射する池のあるこの小さな庭園を見て、春の訪れを喜んだのではないだろうか…、駅員さんも地元の乗客たちも。

石北本線・下白滝駅、ホーム上の枯池

 この池庭はプラットホーム上、駅舎近くの目立つ位置にある。かつては停車した列車の中からでも、良く見えたのではないだろうか…。

[2013年(平成25年) 5月訪問](北海道遠軽町)

下白滝駅訪問ノート(駅舎etc..)

JR北海道の秘境駅、石北本線の下白滝駅

 1日1往復の列車しか停車しない上白滝駅と共に、石北本線の白滝と名の付く駅群「白滝シリーズ」の駅の一つ。現役の白滝シリーズの駅の中では、古い木造駅舎が残るのは、この下白滝駅と上白滝駅の”上下白滝コンビ”のみ。駅舎の古き良き趣きという点では、上白滝駅に一歩譲るかなという印象。しかし上白滝駅は、駅前の集落に十数件の建物があるので、秘境駅感では下白滝駅の方が上かなと思う。


 2016年3月26日のダイヤ改正で、この下白滝駅と上白滝駅、そして旧白滝駅と、白滝シリーズ3駅が廃止された。最終営業日は前日の3月25日。

 廃駅を控えた2016年2月、冬の白滝シリーズ制覇の旅に出た。ゴールは下白滝駅。列車本数が極端に少ないため、旧白滝駅から下白滝駅への移動は駅間徒歩となった。その時の訪問記は姉妹ブログの下記ページへどうぞ。
3駅廃止目前!冬の白滝シリーズ制覇の旅、ゴールの下白滝駅


 廃止となった白滝シリーズ3駅の内、上白滝駅の駅舎と旧白滝駅の木造待合室は年内に取り壊されてしまった。だが、この下白滝駅の駅舎は、保線員の詰所として利用するため、廃線後も残されているという。


~◆レトロ駅舎カテゴリー: JR・旧国鉄の保存・残存・復元駅舎