昭和の可愛らしい洋風駅舎
屋島登山鉄道、通称・屋島ケーブル・屋島山上駅の駅舎を見るため、琴電屋島駅で下車した。

琴電屋島駅は古い木造駅舎が現役。屋島駅は1911年(明治44年)の開業。元々、360mほど西にあったが、屋島登山鉄道の開業を機に現在地に移転。駅舎はその時に建てられたものだ。
2005年で築76年と古いが、綺麗にリニューアルされている。縦長の窓と照明の台座、細かな装飾など、室内は洋風の造りで、パステル調のピンクと白を基調にした色使いがメルヘンチックさを醸し出す。木製のベンチまでピンク色に塗り替えられていた。

琴電屋島駅の駅舎の造りに派手さはないものの、ファサードの三角屋根や縦長の窓、ドーマー窓などがうまく調和し、さっぱりとまとまりのあるデザインが印象的な洋風駅舎だ。外観もリニューアルされ、水色、ピンク色が目立つ華やかな色使いだ。
ことでんは2001年(平成13年)に民事再生法を申請し、経営再建の途上にあった。今回、私が訪問したことでんの古い駅舎は、どれも綺麗にリニューアルされていて、列車との接点である駅を綺麗にして、乗降客に気持ち良く駅を利用してもらおうという姿勢を感じ好感を持てた。水色とピンクが多用されていたが、正直、古い駅舎が身にまとう趣や渋さには、これらの色はあまり似合ってないなと思いつつ見ていた。しかし、この琴電屋島駅に関しては、この色使いは洋風の造りもあいまって、よく似合っている。

出入口上の三角屋根の中に、毛筆体の駅名看板が掲げら、日本の洋風建築らしさを醸し出し印象深い。
駅の正面から緩やかな上り坂になっていて、突き当たりに屋島ケーブルの屋島登山口駅があるのが見えた。しかしは2004年(平成16年)10月16日より運休…。源平の古戦場として知られ、水族館もある屋島だが、近年は屋島観光の衰退が言われるように。マイカー以外の交通手段はタクシーしかなかった…。
メルヘンチックさ溢れる夜の駅舎
屋島山上駅の駅舎をを存分に堪能し、琴電屋島駅に帰ってきた時、西に遠ざかった太陽が空を赤く染めている頃だった。

待合室は温かな明りで照らされ、メルヘンチックな駅舎は日中とは一味違った幻想的なムードを奏でている。まるで童話の中の駅舎に入り込んだ気分だ。
こじんまりとしながらも立派な駅舎だが、数ヶ月前に無人駅となり、窓口のカーテンは閉ざされたままだった。

駅舎ホーム側は、正面と比べると装飾の類は簡素だが、ずんぐりとした体に三角屋根を被ったいでたちが、どこか面白い。

さっきまで茜色に染まっていた空は、刻一刻と暗くなっていた。夜の闇はすぐそこまで迫っていた。さあ、この後は、瓦町行きの列車に乗って今宵の宿に身を落ち着けるだけだ。
[2005年(平成17年) 6月訪問](香川県高松市)
追記1
屋島ケーブルは2005年(平成17年)8月31日をもって廃止となった。訪問当時、屋島への代替交通機関は無かったが、現在では、ことでんバスにより、JR高徳線・屋島駅や琴電屋島駅を経由するバスが運行されている。
(※関連ページ: ことでんバス(路線バス)・屋島山上シャトルバス)
2009年(平成21年) 2月6日に、駅舎が経済産業省の近代化産業遺産に認定された。
追記2: 琴電屋島駅舎取り壊し・改築へ
2026年8月28日、ことでんから琴電屋島駅舎の解体が公表された。同年6月の台風の被害で安全性を調査した結果、解体を決めたという。
工事は9月1日から10月31日までの予定。公表からわずか5日後に工事開始という急すぎる展開に、驚きの声、そして駅舎の素晴らしさが再認識され惜しむ声があがっている。
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