福野駅(JR西日本・城端線)~富山最古の駅舎を再訪…~



古い駅名標保存されるホーム

 城端線と氷見線が、あいの風とやま鉄道への経営が移管される方針が公表された2023年10月下旬、約6年振りに福野駅を訪れた。

ホーム側に残る福野駅の古い駅名標

 駅舎ホーム側には、かつて正面に掲げられていた古い駅名標が保存されていた。使用感はもちろん書体もえらく古めかしい。1970年(昭和45年)頃から、駅舎改修の2015年(平成27年)まで使われていたとか。

 前回は保存されている加越能鉄道・井波駅舎訪問の中継点として降りただけで、福野駅に関する予備知識は無く、離れる列車から古い駅名標を目にし
「あああ…見逃した!」
と悔しいく思ったもの。

JR西日本・城端線・福野駅、木の柱並ぶ駅舎ホーム側

 古い木造駅舎が今でも現役。何とこの駅舎!城端線や氷見線の起源となる中越鉄道時代、1897年(明治30年)5月4日に福野駅が開業して以来のもので、富山県最古の駅舎。

 木の上屋や支える柱は古い木のままだが、斜めに配された支えの部分は、鉄製のものに交換されていた。

富山最古、福野駅の木造駅舎。骨組みなど古い木の部分

 白色に塗られているなど色々と改修されている。しかし、骨格となる木組みのの部分は古いまま。、灰色のペンキ越しに年月に刻まれた木目が浮かび、駅の歴史を感じさせた。

木造駅舎は明治築で富山最古の駅舎

 正面にまわり改めて富山最古という駅舎を見てみた。色々と改修されているので、古色蒼然としたレトロさはあまりない。恐らく正面の軒下ぎりぎりまで壁が移動され、待合室が拡張されたのだろう。

 それでも待合室に対し直角に駅事務室が配され正面に妻面が向いた造りは、ちょっとした規模の木造駅舎ではよくある造り。黒光りする屋根瓦は、城端線などこの辺の古駅舎らしさ溢れ、白い壁ならいっそう引き立たせる。

JR城端線・福野駅、明治の木造駅舎は駅事務室側が増築

 駅舎正面右手側にも、増築の跡が見られる。かつては貨物を扱っていただけでなく、1972年までは加越能鉄道加越線も乗り入れていた。かつては、もっと忙し駅だったのだろうなあ…

富山県南砺市、小30奇麗に整備された福野駅の駅前

 駅前は小奇麗に整備され、まるで都市郊外の新興住宅地を思わす。

 しかし駅から少し離れた北側一帯は、細い道が入り組んだ中、古い建物が残る地味にレトロさ漂う街並みが広がり、前回訪問時に大いに驚かされたもの。料亭など飲食店の跡も目に付いた。こちらが旧福野町の中心地で、二つの鉄路が交わる福野は大いに隆盛したのだろう。

城端線・福野駅舎、待合室と出札口

 待合室はすっかり改装されている。

 ローカル線の駅は、そこそこの規模の駅でも無人化されているのが当たり前。しかし福野駅は簡易委託とは言え、人員は配置されている。城端線や氷見線はそんな駅が多く思った。しかしそんな駅のほどんごが将来的には無人化が予定されているという。

城端線・福野駅、改修された木造駅舎の古い木の部分

 あちこち改修されていても、骨となる木組みは古いまま。風化した木にネジが打ち込まれた様が、武骨でまた味わい深い。

福野駅で折りたたみ自転車を広げ、加越能鉄道旧井波駅跡へ…

 福野駅を訪れたのは、富山最古という駅舎を改めて見てみたいという気持ちもあったが、ここから約5㎞離れた加越能鉄道・井波駅舎を見足りなく、もう一度見ておきたいと思ったからだ。

 前回はバスだったが、今回は自分の折りたたみ自転車で。駅前で袋から出して展開。加越能鉄道加越線の廃線跡の福野-荘川町間の大部分は自転車道に転用された。街中で自転車道の入口を見つけると、井波駅跡まで駆け始めた。

福野駅に戻り宝探し!??

 「加越線が現役だった時代はこんな車窓風景が広がっていたんだな…」
と追想しながら、美しき山々や散居村として有名な田園風景を駆け、福野駅に戻って来た。時間があったら福野のレトロな街並みも再訪したかったが。その時間は無くなった。また今度来ればいいが、今度まで残っているかどうか…

南砺市福野、夕方前の福野駅、駅前で待つ人々。

 10月も終わりになると、日が傾くのが早くなる。まだ明るいが、日はもう夕方の色を帯び始めていた。

 午後1時過ぎに福野駅に降りた時、駅は閑散としていたが、人々の帰宅時間が近づき、駅には人の姿が増え始めていた。

富山最古の明治の木造駅舎残る福野駅、古い建物財産標

 列車待ちの間、ホームをふらふらしていると、駅舎の壁に古い建物財産標が掛けられているのを発見。かまぼこ板のような木の板に、縦長で「停 第一号」と標され、建物財産標の中では最も古い部類のものだ。もう少し後の時代になると、小さな鉄のプレートに「停車場 本屋 1号」と表記される所。

 意味的には駅にいくつかある建物の中で、メインの建物という事を表している。

福野駅舎に秘かに残るNHKの古い放送受信章

 建物財産標の下には、ペンキで木材ごと塗りつぶされた小さな丸いプレートがあった。よく見ると
「放送受信章 NHK」と標されていた。古い家の玄関には、NHKと契約している事を表す小さなステッカーが貼られている事をよく目にするが、その昔バージョンだ。これはTV放送が始まった後のもので、更に細かく言うと、ラジオのみの契約だとこの受信章だったようだ。福野駅の歴史感じさせる逸品で、願わくばペンキを丁寧に剥がし復元されないものだろうか。

JR西日本城端線、福野駅に入線したキハ40の高岡行き列車

 やってきた高岡行きの列車に乗り込んだ。

 無人化、経営移管など、今度福野駅に来る時は色々と変化しているのだろう。だけど、この明治の駅舎はそのままであってほしい。

[2023年(令和5年)10月訪問](富山県南砺市)

レトロ駅舎カテゴリー:
一つ星 JR・旧国鉄の一つ星レトロ駅舎