緑豊かな小さな駅の中に…
三江線の尾関山駅は列車で何度か通り過ぎたことがある。初めてこの駅を車内から見た時、夜の闇の中、構内通路の両側に高く育った2本の蘇鉄が印象的に映ったものだ。
構内配線は元々、島式で2線のホームだったと思われる。しかし、駅舎に近い1線の方はかなり前に撤去されたようだ。それもあって、駅舎までは少しだが距離があり、駅舎の周りに木々が垣根のように植えられているのも、ゆったりとした雰囲気を感じる。
その木々の中を見てみると、枯れた池があった。
枯池はひょうたんか前方後円墳か…、そんなものを思い起こさせる形をしている。昔は垣根と蘇鉄が印象的な構内に潤いを添えていたのだろう。
今、はっきりと残っているのはひょうたん型の池の構造しかない。しかしよく見ていくと、ちょっとした飾りの跡らしきものがある。ほとりに置かれたこの石の上には、コンクリートが塗られた痕跡があった。何かを置く時に接着剤代わりにしたのだろうが、一体何が飾られていたのだろうか…?
[2011年4月訪問] (広島県三次市)
尾関山駅訪問ノート(駅舎etc…)
三江線の始発駅、三次駅を出て2kmほどで尾関山駅だ。駅の北側に桜の名所、尾関山公園がある。
1955年(昭和30年)、開業時からの木造駅舎は、窓口跡のある有人駅の駅舎としてはミニマムな造りで、簡易駅舎と言える。
三次市街北端に位置し、多くはないが意外と利用されているようだ。私が訪れたこの時も、タクシーが数台待機していた。乗車する時は、珍しく!?他に乗客が二人いた。
2018年(平成30年)4月1日、三江線の廃止により廃駅となった。しかし2020年2月現在、Twitterの投稿によると、駅跡は残存し、鉄道愛好家を中心に駅舎の手入れやイベント開催などの活動をしているようだ。
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