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三間坂駅 (JR九州・佐世保線)~木造駅舎の旅~


三間坂駅訪問記と写真

JR九州・佐世保線、三間坂駅: 緑豊かなプラットホーム。
(緑豊かなプラットホームに目が引かれる。)

 佐世保線の三間坂駅で下車した。長いプラットホーム沿いに草木が豊かに植えられているのを目にし、まるで公園か植物園かという気分になった。梅雨の6月、沈んだ色の空からは恵みの雨が降り注ぎ、しっとりと濡れた草木達はいっそう艶やかだ。

佐世保線・三間坂駅、相対式ホームに挟まれ中線が現役だ
(相対式のホームに挟まれ現役の中線もある広い構内。)

 構内に目を転じると、2面2線の相対式プラットホームに挟まれ、1線の中線があった。小さなローカル駅では本線以外の中線や側線などは廃され使われていない事が多く、この駅もそうなのだろうと思った。しかし、よく見ると中線の上にも架線が張られ、信号は三つとも赤く灯っていた。いまだ生きているのだ。三線分のレールが伸びる広い構内は、小駅なれど堂々とした雰囲気だ。

「行き合いの駅、三間坂」プラットホームの看板
(「ようこそ肥前路へ 昔からの行合の駅 三間坂」)

 ホームを歩いていると、「ようこそ肥前路へ 昔からの行合の駅 三間坂」という看板がフェンスに掛けられているのに気付いた。今では盛んに使われてはいないのだろうが、昔は長大編成の貨物列車や客車列車がこの駅の長い構内で、身を休めるように停車し、道を譲り合ったのだろう。地元の人々は、そんなこの昔からの風景を残す駅をこよなく愛しているのだろう。

佐世保線・三間坂駅: 大正11年築の木造駅舎はきれいに改修された。
(大正11年築の木造駅舎はきれいに改修された。)

 三間坂駅には、大正11年(1919年)に建てられた木造駅舎が残るが、2004年か5年あたりに改修されたとの事だ。ホーム側は昔ながらの雰囲気を僅かに留めつつも、新築のように改修されていた。上屋を支える木の柱は、まだ角がとれていなくスベスベと平で真新しさが残る。そんな駅舎に、古くくすんだ木の駅名標がレトロさを添える。改修前から使われ続けているものだろうか。

佐世保線・三間坂駅: 駅舎ホーム側はショーウィンドが置かれた。
(ホーム側にはショーウィンドーが設置され、花々が賑わす。)

 ホーム側にはショーウィンドーのようなものが取り付けられていた。ちょっとした展示スペースで、中には絵画や壷が飾られている。ホーム沿いに植えられた草木が印象的な駅だが、駅舎の周囲は植木鉢の花で色とりどりだ。

JR九州・佐世保線、三間坂駅の木造駅舎。改修されきれいに。
(改修された木造駅舎を正面から眺める。)

 駅舎の外に出て正面から眺めてみた。写真で見た三間坂駅は、古い木造駅舎の前にタクシーのテントが覆いかぶさっているというイメージが、訪れた事が無いながらも持っていた。しかし改修後、タクシー乗り場は駅舎横に移動され、昔ながらの外観が遮る物無く一望できるようになった。駅舎はホーム側同様、昔の趣が保たれながらもすっかりきれいに改修され、白い壁が眩しくさえ映る。

佐世保線・三間坂駅駅舎、竹の飾りが目を引く。
(竹の飾りが置かれた駅舎。)

 駅舎には竹を並べた飾りが置かれ、この木造駅舎によく似合っている。その背後をよく見たらトイレだった。竹の飾りはトイレの出入口を隠すためのものでもあるのだ。改修に際し、おそらく昔の広かった駅事務室の一部を割きトイレを設置したのだろう。

佐世保線・三間坂駅、駅用地に咲く紫陽花。
(駅用地の紫陽花。)

 駅前を少し歩くと、駅の東側には駅の用地が広がっていた。駅のフェンスに絡みついた紫陽花がきれいに咲き誇っていた。

 三間坂駅は現在では武雄市の西部にあたる位置にあるが、合併前は山内町という町の中心駅で、町役場にも近かった。しかし、駅周辺は民家の中に、商店が点在する程度とひっそりとしていた。

三間坂駅駅舎内部、出札口とボランティアの交流スペースがある。
(駅舎内部。出札口と地元ボランティア運営の交流スペースがある。)

 駅舎内部も改修され、大正からの駅舎と思えない程、きれいに改修されていた。

 業務委託駅で、駅には切符の販売などの業務をする初老の駅員さんが居る。他には待合室があるが、真っ暗で施錠されていて入る事ができない。中を見るとテーブルや椅子があり、壁には写真が飾られ本棚なんかもある。駅の待合室と言うより、一般家庭のダイニングか居間のような雰囲気だ。どうやら地元のボランティアが狩り受け運営する交流スペースのようだ。暗い室内を好奇心旺盛に覗き込む私を見て、駅員さんが鍵を開け中を見せてくれた。

三間坂駅、交流スペース室内には何故かリュ・シウォンの写真が…
(交流スペースには韓国のスターのリュ・シウォンで満たされた一角が…。)

 中には何故かタレントの写真やグッズで満たされた一角があった。最初、V6のイノッチかと思ったが、よく見ると…、イノッチではなく日本でもよく知られた韓国の歌手、リュ・シウォンだった。最初はボランティアの人の中に熱心なファンが居るのかと思った。しかし、置かれいてるプレートに、リュ・シウォンの「天体望遠鏡」という曲の舞台になったと書かれていた。それ以来、全国からファンが訪れるようになり、リュ・シウォン本人も仕事の合間を縫って三間坂駅に訪れ、室内にはその時の写真も飾られていた。

「8月7日の短冊に あなたは何を書きますか?
 三間坂じゃよく見えた星空は
 東京じゃあんなには見えないよね…」
と歌われたように、三間坂駅のある旧山内町地区のの七夕まつりは、旧暦に合わせ、例年、8月の初旬頃に開催されているという。


[ 2015年6月訪問 ](佐賀県武雄市)

追記: その後の三間坂駅

 2016年3月26日のダイヤ改正で、三間坂駅などJR九州の9駅が新たに無人化される事になった。これでJR九州567駅の内、291駅が無人駅となり、無人駅が全駅の半数を超える事になる。

三間坂駅・基本情報+

鉄道会社・路線名
JR九州・佐世保線
駅所在地
佐賀県武雄市
駅開業日
1897年(明治30年)7月10日
駅舎竣工年
1919年(大正11)年
駅営業形態
業務委託駅 (※2016年3月26日から無人駅に。)
その他
・交流スペースを運営しているのは、地元ボランティアグループの「悠・YOU」。私が訪問した日は、メンバーの方は誰も居なかったが、居れば待合室としても利用できるらしい。
・「天体望遠鏡」は元々、佐賀県出身の女性シンガー・AMADORINの歌で、リュ・シウォンがカバーした。