駅と駅舎の旅写真館 railwaystation.jp

池谷駅 (JR四国・高徳線、鳴門線)~狸伝説伝える池庭~

駅舎に寄り添うように…
駅の片隅にひっそりと…
日本全国の駅を巡る旅で見つけた、駅の中の池のあるミニ庭園、またはその遺構、つれづれ。


高徳線、鳴門線分岐点の間に・・・

 JR四国の池谷駅は高徳線と鳴門線の接続駅で、プラットホームはちょうど両線の分岐点上にありV字状にレイアウトされている。そのため、両線の内側はゆとりある三角状の土地になっていて、駅舎があり、両プラットホームへは跨線橋で繋がれていた。

JR四国・高徳線、鳴門線、池谷駅構内に残る枯池のある庭園跡。

 そしてその三角状の土地の中に、枯池があるミニ庭園が残されていた。

 池は結構大きめで、露天風呂を思わす。中には鳴門市の伝統工芸・大谷焼の睡蓮鉢や壷が置かれ郷土色も豊かで、見ていて楽しい。かつては鉢の中に睡蓮が咲いたのだろうか...。余裕ある空間を優雅に活用していて、水が張られていた頃は、駅の中にあるとは思えない庭園のような空間だったのだろう。

JR高徳線・鳴門線、池谷駅を棲家としていた段四郎狸の祠。

 庭園の中を見渡すと、池の奥の方に祠があり、その横に狸の焼き物が鎮座している。この狸はただの置物ではなく、「段四郎大明神」と呼ばれ、池谷駅にとても縁が深いものだ。

 池谷駅が出来た頃、不吉なことが続き伺った所、この地は段四郎という総領狸が棲んでいたが、駅の新設でその住家を奪われたので人に祟っているという。しかし、 お祀りしてあげれば 交通安全 家内安全 商売繁盛 に利益をあげるであろうとの宣託があったので、祠を作ったとの説明書があった。末尾に看板の設置者と思われる「阿波狸奉賛会」という会の名前が添えられていた。徳島県は狸の国と言われるほど、狸にまつわる民話が多い所で、毎年11月上旬には「阿波の狸祭り」が開催されている。

池谷駅枯池。大谷焼の壷を利用した注水口

 池の縁に大谷焼の巨大な壷が傾け飾られていた。壷の口は池の方に向いていて、口の下には睡蓮鉢が置かれていた。きっと壷の中に水道が仕掛けられ、壷から鉢に水が注がれ、鉢から溢れ出た水が池の中を満たしたのだろう。だが、池が枯れた今、鉢の中には腐った雨水が虚しく溜まっていた。

池谷駅枯池。大谷焼の陶器の水の中には賽銭が…

 枯池の中に置かれた大谷焼の器の中に、キラリと光るものがあった。よく見ると鉢の底に、硬貨が何枚か投げ入れられていた。段四郎大明神に、ご利益を願ってのものだろう。しかし、かつては美しかったであろうこの廃れた池を見て、段四郎大明神にとって、住み心地はいいのだろうかと思った。だけど、鉄道が通じ駅ができる前は、一面の野原だっただろうから、元の雰囲気に一つ戻りかえって快適なのかもと思った。

 
[2005年6月訪問](徳島県鳴門市)

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四国旅マガジン GajA(ガジャ) No.62 鉄分たっぷり列車旅