東松江駅 (JR西日本・山陰本線)~改修されまくりの魔改造木造駅舎!?~



原形をほどんど留めない木造駅舎??

JR西日本・山陰本線・東松江駅、駅舎ホーム側とプラットホーム

 古い駅舎が残るという山陰本線の東松江駅で下車してみた。新建材等で大きくリニューアルされて古さは感じないが、軒を支える柱は木の部分が露だ。

JR山陰本線・東松江駅、大きく改修され原形をほとんど留めない木造駅舎

 駅舎を通り抜け正面から見てみると絶句した…。東松江駅の駅舎はあまりにもリニューアルされ過ぎで、木造駅舎だということをほとんど感じさせない。壁は新建材で覆いつくされ、正面部分は新たな部屋が覆いかぶさるように増築されている。強いてあげれば、青い瓦屋根部分に木造駅舎らしさが残っているが…。この駅舎まじまじと見つめ「魔改造」というスラングが頭の中を過ぎった。

 これ程までにリニューアルされ何に使われているかと思ったが、左側に別の出入口があり、「JR 出雲鉄道部 松江工務支部」という看板が掲げられていた。建物の大半はこの支部が使っている。

 駅の開業は1908年(明治41年)で当時の駅名は馬潟駅だった。1973年(昭和48年)4月1日に現在の東松江駅に改名された。この駅舎がいつ建てられたかは不明だが、もしかしたら開業の明治以来のものだろうか…。だとしたら何てもったいない事をと思う。

JR西日本・東松江駅の木造駅舎、右端の出入り口

 乗降客用のスペースは右隅にほんの僅かあるだけだ。リニューアルに際し、駅事務室や元の待合所・窓口だった所はJR関連部署が使い、軒下を壁で囲い新たに待合室としたのだろう。どこか肩身が狭く追いやられている感じがするが、駅の利用実態を見ればこれで十分なのかもしれない…。入口手前、左側にトイレがある。

 そんな中、出入り口上部に掲げられた木製の駅名看板が、木の質感豊かで異彩を放つ。木造駅舎に似合いそうな看板だが、改修前からのものを使っているのだろうか…。

JR山陰本線・東松江駅の木造駅舎、待合室

 待合室内部の軒を支える柱は撤去される事無くそのままだ。造り付けけの長椅子に無理に割って入っているかのようで、狭い待合室は余計に狭苦しく感じる。

JR西日本・山陰本線・東松江駅南側に広がる空地や農地

 東松江駅は県庁所在地の松江市内にあり、松江駅の隣の駅だ。しかし、畑や山々などのどかな風景が広がっている。

JR西日本・山陰本線・東松江駅の跨線橋

 跨線橋を渡って2・3番ホームに行こうとしたら、床に「頭上注意」とチョークで書かれていた。何だろうと見上げたら、この部分だけ屋根が剥がれ青空が見えていた。

山陰本線・東松江駅隣接、JR貨物の駅東松江オフレールステーション

 ここ東松江駅には、JR貨物の駅も併設されていて、旅客用ホームの向こうには貨物用の側線が何線も広がり、多くのコンテナが詰まれていた。しかし、この駅に発着する貨物列車は無く、レールは虚しく錆び付いている。貨物は米子駅との間に設定されたトラック便により扱われ、現在では貨物駅としては通称「東松江オフレールステーション」と呼ばれている。オフレールステーションは、鉄道貨物を自動車代行輸送によって取り扱っている貨物駅で、言わば貨物列車が来ない貨物駅だ。

JR西日本・東松江駅、国鉄形駅名標タイプのレトロな名所案内

 あれこれと改修されている東松江駅だが、2・3番ホームには、古い名所案内板が残されていた。木製の国鉄型駅名標のつくりで、この型が残っている駅はもうすっかり少なくなってしまった。この駅にも古き趣きのあるものが残されていたものなのだ…。

[2007年(平成19年) 4月訪問](島根県松江市)

~◆レトロ駅舎カテゴリー: 一つ星 JR・旧国鉄の一つ星駅舎

追記

 JR貨物における山陰本線・湖山駅‐伯耆大山駅間の第二種鉄道事業廃止により、東松江オフレールステーションは、2015年(平成27年) 4月1日で廃駅となった。しかしJR貨物の東松江新営業所になり、貨物集配所としての機能は残されている。