日本三大車窓、善光寺平を抱く駅
2026年新春、篠ノ井線の駅を巡り、姨捨駅で下車した。平成の初期に訪れて以来か…、いや2000年代初めの頃にも訪れたか…?とにかく20年以上振りの久し振りの訪問。特急しなので何度も通る機会はあったが、再び降り立つまで随分と経ってしまったものだ。
姨捨駅と言えば日本三大車窓と称される絶景が有名な駅。まず名高い風景を見ようと2番ホームに向かうため跨線橋に上った。

すると、跨線橋ですら風景を一望できる展望台のような造り。この跨線橋を設置した人、解ってるなぁ~と感心。
2番ホームに立つと、信州の山々に囲まれた善光寺平が一望の下に広がっていた。冬だが積雪はほどんど無く冬枯れ。だけど空気は澄み遠くまでよく見える。善光寺や長野市は奥のあのあたりだろうか…

反対側の1番線に駅舎が建っている。1934年(昭和9年)築の木造駅舎は健在で何より。元々、洋風の洒落た造りだったが、リニューアルでお洒落な山荘のようなムードに。

2番ホームの眼下にある本線を、名古屋行きの特急しなのが松本方面に向け坂を駆け上がっていった。
姨捨駅は蒸気機関車の給水のため、スイッチバック構造の駅として設計されたと言う。松本からやって来た下り列車は姨捨駅に停車した後、出発すると、一旦、松本方面に戻り、数百メートル先で停車すると進行方向を変え、篠ノ井方面に下っていく。
篠ノ井方面から来た上り列車は、姨捨駅を少し通り過ぎるとバックし2番ホームに進入してくる。

駅舎の横にはホームに沿って長細い建物が新築されていた。これは姨捨駅がクルーズトレイン「トランスイート四季島」の停車駅になった事に合わせ設置されたラウンジ「更級の月」。基本的には同列車の乗客専用施設で、私が訪れた平日昼間は閉まっていた。だけどJR東日本系列の会社が、ランチやディナーを旅行商品として売る事もあるようで、高額なTS四季島に乗らなくても利用できるので狙い目だ。
リニューアルされた駅舎と記憶の中の姨捨駅

駅舎はリニューアルされお洒落な山荘風になったとはいえ、古き良き趣は伝わる。閉塞器室と呼ばれるホーム側の出っ張りも、木材や木枠の窓のペンキ越しに風化した木目が皴のように浮かび上がっていた。無闇に改修するのではなく、残すべき所はしっかり残しているように思う。

出入口の扉は、駅舎の規模に比し大きめに思う。そんな出入口に横幅が広い引戸が2枚取り付けられていた。この大きさにする理由はあったのだろうか…?

待合室はすっかりきれいに改修され、くすんだ雰囲気は無い。レトロな木造駅舎のイメージに合うよう、木が多用されている。切符売場、手小荷物窓口はレトロな造りが復元されていた。
初めてこの駅に訪れた1990年頃、キオスクがありお年を召した女性が店番をしていたのは不思議と記憶に残っている。昔はそこそこの駅にはキオスクがあったものだが、当時ですら
「こんな駅に…!!」
と思ったのだろう。そのキオスクも失われてだいぶ年月が流れたけど。あと待合室内に小上がりがあったような…。これは記憶違いかもしれないけど。

窓は洋風駅舎らしく縦長。しかも大きい。出入口だけでなく窓も立派なもの!

窓枠や周辺の枠も古い木のまま。使い込まれ古びた質感は、リニューアルされた素材とは明らかに違い渋い。窓枠の下の方にカーブが入った真鍮の金具が取り付けられていた。これも年季が入っている。窓の開閉用の取っ手かと思い、試しにつまんで上に上げて見ると、窓は見事に持ち上がった。
個性的な装飾が印象的な洋風木造駅舎
外に出て駅舎を眺めた。
半切妻のファサードを持つ急角度の屋根や縦長の窓を持つ木造駅舎は洋風の趣きに溢れる。
この駅舎は1934年(昭和9年)築。2010年(平成22年)にリニューアル工事が行われ、待合室だけではなく外観も改修されている。改修前は横板張り(もしくは横板張り風の建材)だったのが、改修後は縦板張りになった。

姨捨駅舎はより洋風のムードにしているものが、半切妻ファサードの白い部分の装飾。中でも特徴的なのが、小窓回りのピエロのペイントのようなインパクトのある装飾。あるいはウォータークラウン(水滴が水面に落ちた一瞬にできる王冠のようなもの)、星のようとも言えるかも…。これが有ると無いでは、この駅舎の印象もだいぶ違ってくる事だろう。
そのやや下の両脇に、四角の中に玉があるレリーフも面白い。

姨捨駅は山の斜面にあり、駅前には並行して道がやっと一本通っているだけで狭い。側面も含め立体的に撮影したいが、ズームレンズを広角側の24㎜にしてやっと。屋根の側面にもあのピエロ模様があるが、こちらは窓ではなく、通風孔となっている。

正面側も出入口がやはり広めに思う。
両側には玄関の正月飾り、しめ飾りが掛けられ、駅巡りに新年らしさを添える。だけどしめ飾りは赤色の紙が混じるなど、もう少しカラフルな気がするが、長野のしめ飾りは他の駅でも見たのだが、しめ縄に松、白い紙と、地味めのようだ。

ピエロ模様の小窓は、待合室から見るとどうなっているのだろうと見上げてみた。するとちょうど裏側、天井が一部繰り抜かれたような部分に、同じ長細い窓があり、僅かに光を取り込んでいた。おお!ただの飾りと思っていたが、採光窓だったのだ。もしかしたら、昔は天井が高く、小さい窓なれど駅にもっと光をもたらしていたのかもしれない…

もっとこの駅舎を見ていたい気もするが、キリが無いので、また来ればいいと思いながらギリギリまで撮影をして長野行きの列車に飛び込んだ。スイッチバックする列車の車内から、名残惜しく善光寺平を眺めた。
[2026年(令和7年)1月訪問](長野県千曲市)
- レトロ駅舎カテゴリー:
JR・旧国鉄の三つ星レトロ駅舎







































































































































