えちぜん鉄道のありふれた木造駅舎だけど…
越前新保駅訪問ノート
福井駅より4駅目で、住宅などが立ち並ぶ街中にあり、古い木造駅舎は、他のえちぜん鉄道の古駅舎の多くで見られるように、外壁は白いトタンで覆われるなど改修されている。しかし、今も有人駅という事もあり、内部の改修は最小限のようで、窓口はまだ現役で使われている。
駅は1916年(大正5年)4月11日の開業だが、駅舎の竣工年は不明だ。
前回訪問時にも気付いていたのだが、この駅でやはり気になるのは駅舎外の軒下に置かれた木製ベンチだだ。側面には「M」と温泉マークを模った紋章のようなモノが刻まれている。
温泉マークはえちぜん鉄道三国芦原線沿線で、福井県随一の名湯、芦原温泉が由来だろうか。
しかし「M」は何なのだろう…。Mは三国のM…?そして三国といえば、三国芦原線…?その前身の一つであり、1927年(昭和2年)から1942年(昭和17年)まで存在した三国芦原電鉄…?
あるいは、ベンチの形状が、かつての国鉄駅に置かれていた古いベンチと同型である事を考えると、国鉄絡みなのだろうか…?となると、かつて金津駅(現・JR芦原温泉駅)と三国港駅を結び、1972年(昭和47年)に廃線となった国鉄・三国線…?三国芦原線の三国‐三国港間の開業は、国鉄三国線の同区間が戦時中に休止となったのを、えちぜん鉄道の前身の京福電気鉄道が借り受けた事によるものだ。
いずれにしても、社内で備品を使いまわしている内に、越前新保駅に流れ着いたのだろう。
待合室にも同じ型のベンチがあるが、そちらはマークの部分が切り抜かれていた。
[2014年(平成26年) 11月訪問](福井県福井市)
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