東北本線の香り残るプラットホームに…
JR東日本・東北本線の青森県内区間が移管された第3セクター鉄道の青い森鉄道。諏訪ノ平駅のプラットホームはとても長い。さすがに東京と東北、そして昔は連絡船で、今は青函トンネルを介し北海道をも結ぶ大動脈上の駅なのだなと実感する。
今でも長大編成の貨物列車が頻繁に往来するのは相変わらずだが、地域輸送を担うのは数両編成の電車だ。使われなくなった長いホームの端はろくに手入れもされず草生し、まるで空地のよう。その中を見てみると、植栽が整えられていた痕跡があり、あれっと思うようなカラフルな小さいものがあった。
近付いてみると雑草で荒れた中、廃れた池が埋もれていた。よく見ると、枯れた池のほとりには何と寺院まである。本堂があり、その背後にあのカラフルな物体…、三重の塔があったのには更に驚かされた!となれば、池の真ん中の小島にそびえる岩山は須弥山を表しているのだろうか…?
そして寺院本堂をよく見てみると・・・
何と!金色に輝く仏様が!無人化され少し寂れた駅でいまだに輝を放つ姿は、まばゆいばかりのオーラを放っているかのように映る。
雑草の中に「名所案内」と書かれた石があるのを見つけた。そには法光寺というお寺と三重の塔についての簡単な説明があった。これを見て、この寺院のミニチュアの由来が法光寺で、カラフルな物体は三重の塔なのだと気付かされた。法光寺は諏訪ノ平駅から直線距離で5km東南の山の麓にある。約700年前、鎌倉幕府第5代執権の北条時頼の開基で、承陽塔と呼ばれる三重の塔は日本一の規模との事。
(※関連ページ: 法光寺(青森県観光情報aptinet) )
意表を突き駅に出現した仏教的小空間に手を合わせたい気分になった。
もう1つの枯池
ホームから駅舎の外に出てみると、駅舎の前にも枯れた池があるのに気付いた。コンクリートで小さな池が形づくられているが、土で埋められ花壇の跡のようになっている。
枯池の側に水道の蛇口が設置されている。池の中に水があった名残りようにコンクリートの水路のようなものが、水道から池に向かって傾斜を付けられ設置されている。しかし、その水道は掃除や花への水遣りなど多目的に使われていたのだろう。その水路は簡単に取り外せる仮設の水路といえるようなものだった。
[2010年(平成22年) 8月訪問] (青森県三戸郡南部町)
諏訪ノ平駅訪問ノート
駅の開業は1933年(昭和8年)1月15日。建築時期は不明だが古くからの木造駅舎が残っている。待合室部分が広く取られたやや大型の駅舎は、かつては法光地への参拝客で賑わったのだろうか…
駅前にはこじんまりとした街並みが形成されていた。
~◆レトロ駅舎カテゴリー: JR・旧国鉄の一つ星駅舎 ~