伊予鉄道郡中線・郡中港駅とJR予讃線・伊予市駅



ライバルだけど実は乗り換え駅!?

 味わい深い木造駅舎が残る松前駅でふらり降りてみるなど、伊予鉄道郡中線の初乗りを楽しみ、終点の郡中港駅に到着した。

伊予鉄道・郡中線の終着駅・郡中港駅の駅舎

 小さな駅舎を持つ有人駅だ。街中にあるが、これが国鉄の駅なら、長い2~3線のプラットホームがあり、側線のある貨物ホーム跡や広い駅前を持つなど仰々しくなるのだろうが、道路にぎりぎりに平行するように列車が停車し、駅前も広くなくコンパクトにまとまっているのが、いかにも中小私鉄らしい。

 この郡中港駅、実はJR四国の予讃線・伊予市駅のとは実は目と鼻の先だ。乗換駅として案内しても差し支え無いだろう。郡中線から予讃線に抜ける、またはその逆もいける乗り鉄的には有難い効率的なルートで、私もこれから予讃線に乗り換える。

 両者はあまり遠くない所を平行するようにレールが敷かれているため、ライバル関係と言える。伊予鉄道側は日中15分間隔と本数が多く、中心街の松山市駅まで行けると言う点では有利。だが、JR予讃線の伊予市駅‐松山駅間、伊予鉄では松山駅にほど近い大手町駅‐郡中港駅間を運賃で比較すると、200円近くもJRが安くなり、運賃ではJRが圧倒的に有利だ。本数も決して少なくは無い。

 コンビニでアイスクリームを買って一息つくと、左手にすぐJRの伊予市駅が見えた。これだけ近いのならもう同じ駅にしてしまえと思うのだが、ライバル同士の両者、互いにプライドが許さなかったのだろう。

伊予鉄道・予讃線、伊予市駅。古い駅舎がリニューアルされている。

 伊予市駅の駅舎は古くからの木造なのだろうが、新築のように改修され、面白味はいまひとつ…

 市名とかつての国名を冠し、伊予市のJR側の代表駅で、賑わっているように想像してしまうが、駅は閑散としている。青春18きっぷに日付けを入れてもらおうと思ったが、ちょうど列車の間隔が開く時間だった。窓口を開けても無駄と思っているのか、カーテンが閉まり、列車出発前まで開かないとの札が出ている。手持ち無沙汰に掲示されている時刻表を眺めてみると、朝夕夜以外、伊予市駅には特急列車は停車しない事を知った。

 列車の時間が近付き、10人程度の乗客が集まっていた。出発5分位前になって、ようやく窓口が開き、青春18きっぷに日付けを入れてもらえた。そして、瀬戸内海が一望できる事で有名な下灘駅を目指した。

[2002年(平成14年) 7月訪問](愛媛県伊予市)