駅と駅舎の旅写真館 railwaystation.jp

亀崎駅(JR東海・武豊線)~最古の駅舎がある駅を細見する~

~再訪記~


現役最古といわれる駅舎の現在

 約1年と数ヶ月振りに亀崎駅を訪れた。鉄道好きでありながら武豊線な乗りに行った事が無かったが、亀2001年に初めて訪れて以来、近場という気軽さから、たまに訪ねるようになった。今回は桜が満開の時季を狙っての訪問だ。

武豊線、現役最古と言われる亀崎駅駅舎(JR東海)
(現役最古の駅舎と言われる亀崎駅の木造駅舎。)

 素朴な木造駅舎だが、取り付けられている「M19年1月」と標された建物財産標により、国内最古の現役駅舎とされている。懐疑的な見方もあるが・・・。だが、亀崎駅は無人駅ではなく、武豊線内でも多い利用客数を誇るゆえもあるが、駅舎はよく手入れされ、ローカル線の木造駅舎にありがちな寂れた雰囲気は感じられない。

 この駅周辺は掘割状に土地を切り開きレールを通し駅を作ったため、駅前は狭い。その上、フェンスや電柱など何かと障害物が多く、駅舎をすっきりとまとまり良く撮影するのは難しい。駅舎側もかつてはプラットホームだったと思われるが、今ではレールが剥がされ、石積みの古い造りにその名残をとどめる。

亀崎駅、駅舎側の廃ホーム跡は自転車置場になっている。
(駅舎側のプラットホームは自転車置き場に。)

 駅舎側のレールが剥がされた跡があるホーム跡は、5.6両分程度の長さはありそうだ。貨物ホーム跡だったのだろうか?古レールが規則正しく並び、上屋を支えている。この駅での貨物扱いはとうに無くなっているが、ホーム跡は自転車置場に転用され、上屋の下には自転車がぎっしりと置かれ。利用者の多さを物語る。

亀崎駅、武豊線の複線電化と高架化を求める古い看板
(武豊線の複線電化と高架化を求める看板。)

 自転車置場には、もう長い間、武豊線の複線電化と高架化を要望する看板が掲げられている。看板のデザインや雰囲気から、もう十数年は以上前のものなのだろう。武豊線はライバルの名鉄に水をあけられていたが、沿線人口が増え都市型路線に変貌しつつある。そのため、まず悲願の一つだった電化が、2010年の3月に発表された。 

亀崎駅、石積みの造りと古い表示が残る廃プラットホーム跡。
(石積みのホーム跡には古い表示が残る。)

 貨物ホームは石積みの造りを残し、コンクリートでかさ上げされている。石積みの中に「3」という数字が埋もれるように残っている。古いものなのだろうが、どういう意味なのだろうか・・・?

亀崎駅、現役最古と言われる木造駅舎と咲かなくなった桜の木
(亀崎駅駅舎と咲かくなった桜…)

 駅舎を正面から眺めてみた。まるで笠を広げたかのような軒が駅舎をぐるりと取り囲むように巡らされている。

 駅前の桜が満開だろうと思ってきたが、2本ある内の駅舎から離れた大きな方の桜は、ほとんど花を付けていなかった。この桜も病気にやられてもうだめになってしまったのだろうか?地元の人なら詳しいと思い、駅前のパン屋で買い物ついでに聞いてみたら、去年から急に咲かなくなってしまったとの事。桜の時季に2度、亀崎駅に訪れているが、写真の腕が今以上に稚拙だったため到底満足のいく出来ではなかった。今度こそと思って楽しみにやって来たのだが、間に合わず桜は遂には力尽きてしまったのだろうか・・・。

武豊線・亀崎駅。満開の桜と乗降客
(もう一方の桜は満開だ。)

 しかし駅舎に近い方のもう一本の桜は健在で、見事な花を咲かせてくれてた。心慰められた気持ちでシャッターを切った。

2008年訪問時にはあった亀崎駅のキオスク
(2008年当時のキオスク跡。)

 駅舎寄りの桜の下には、以前はキオスクがあった。写真は2008年12月の撮影。キオスクは駅待合室やホーム上にある事が多く、駅舎外に別棟でというのは珍しいだろう。営業時間は6:45から18:00までだが、11:35から15:00までは休憩となっていて、通勤通学時間帯を中心とした利用が見込まれる時間帯のみの営業だ。

 1回だけこのキオスクが開いている時間に来合わせた事があるの。おばあちゃんが店番をしている様子が、まるで田舎の商店に来たかのようなゆったりとした風情ある光景だったのが、今でも心に残っている。上の写真のように、駅と桜を絡めて撮影できるのはこのキオスクが無くなったゆえだが、味わい深い駅の情景が一つ失われ、もうあの場面をは私の心の中にしか無いのだと思うと、寂しさもまた心を過ぎるものだ。

亀崎駅、木の質感豊かな木造駅舎の壁面。
(よく見ると、壁は木造駅舎らしい質感…。)

 古い木造駅舎は手入れが行き届き、古さは感じない。ペンキもしっかり塗られ、遠くから見れてみると、まるで最近作られたかのようだ。だけどじっくり見ていくと、木の壁面に木目が浮かび上がり、触ってみるとペンキ越しに木らしいざらついた感触がした。

亀崎駅、カーブが入った木製柱の頬杖
(軒を支える柱。)

 軒を支える柱。両側に伸びる頬杖は僅かにカーブが入り、さりげなく手が込み洒落ている。

亀崎駅駅舎内、乗降客でそこそこ賑わっている。
(列車の出発が近づくと駅は賑わう。)

 駅舎内部はすっかり改装され今時の駅の装いだ。古き良き趣を感じられないのがやや残念…。

 列車は30分に1本しか無いが、発着時間が近付くと駅は賑わう。現役最古といっても、まだまだ活き活きとした雰囲気がするのは良い。

武豊線・亀崎駅プラットホームを大府方から見渡す
(北側の陸橋から亀崎駅を見下ろす。)

 大府方の陸橋から亀崎駅を見下ろした。駅の周辺は住宅街で、駅舎と反対方向のレールを跨いだ北西には、JR東海関連の不動産会社が開発した住宅地「ジェイタウン半田のぞみが丘」もある。なので多方向へ出られる橋上駅舎にすれば、より多くの人に便利になるし、ジェイタウンを売る際も、駅により近い事がセールスポイントにもなる。陸橋から駅まで徒歩で2分程掛かるが、たかが2分、されど2分だ。

 私の好みは別にして、利便性を考えれば橋上駅舎で、素人目に見て用地はありそうなので、JR東海はよく亀崎駅の駅舎を今のまま維持しているなといつも感心する。現役最古とされている駅舎だけに、おいそれと手出し出来ないのか・・・。何かあるとしたら2015年に予定されている武豊線電化に関連してだろう。

 私にとって理想の形・・・、最古というには懐疑的な見方はあるにせよ、長年、この地で根ざして人々に親しまれてきたという駅舎である事は事実だと思う。だから電化後も、この木造駅舎が変らず活躍する姿が見たいものだ。


[2010年(平成22年) 4月訪問](愛知県半田市)

追記: その後の亀崎駅

 2013年(平成25年) 10月1日、集中旅客サービスシステムの導入により無人駅となった。

 2014年(平成26年) 2月28日、バリアフリー工事が完了し、プラットホームと駅舎の間にエレベーターが付いた跨線橋が設置された。場所は駅舎正面に向かって左側の所で、そのため、跨線橋が駅舎に被さるようで、ただでさえ撮影しずらい亀崎駅駅舎がさらに撮影し辛くなった感。このページのいちばん上の写真のような駅舎全景はもう撮影できない。

 駅舎の味わいというものが台無しになっている感は拭えない。ただ、日本最古の現役駅舎と推定されている事を尊重してか、跨線橋の塗装は木造駅舎のような渋い茶色だ。

 それに、既に無人化されていたので、バリアフリー工事という大掛かりな工事を機会に、駅舎を取壊し新しいものを建てるという選択肢もあった筈だ。しかし、あえてこのような形を取った事も含め、JR東海は歴史ある亀崎駅駅舎を尊重しているのが感じられ、評価に値する対応なのではと思う。

武豊線・亀崎駅、バリアフリー対応で設置された跨線橋
(2014年に設置されたエレベーター付きの跨線橋。)

私鉄最古の駅舎

浜寺公園駅 (南海電鉄・本線)
※1907年(明治40年)築。日本を代表する洋風木造駅舎。高架化されるが駅舎は保存される事に。