福井鉄道・西武生駅(現・北府駅)ホーム上の枯池のある庭園風空間



広大な敷地の中の小さな庭園跡

 福井鉄道の西武生駅に隣接して、同社の車両基地があり木造の車庫は歴史を感じさせる。通りに面した建つ大柄な洋風建築はかつての本社社屋だ。

 堂々たる福井鉄道の構内の奥の方に、西武生駅の木造駅舎は遠慮気味に立地している。

福井鉄道・西武生駅プラットホーム上の池のあるミニ庭園跡

 駅舎側のプラットホームに枯池が鎮座し、古色蒼然とした木造駅舎や広い構内側線にあって不思議な存在感を漂わす。池の周りには木も植えられた庭園風の造りで、もし、この池に水が張られていたら、素朴で昔風の木造駅舎に更に趣を添えた事だろう。

[2005年(平成17年) 7月訪問](福井県武生市)

再訪

 西武生駅の枯池が無くなったらしい事をウェブ上の写真で知った。名鉄の岐阜市内線の廃線で余剰になった路面電車型の中古車両を導入したため、ホームのかさ下げが必要となり、その工事のついでに無くなったようだ。

 3年ぶりに西武生駅を訪問してみると、ホームは確かに低くなっていた。ただ、ホーム全体ではなく、必要な部分のみかさ下げされていた。あの枯池があった部分はちょうど、その段差の境目辺りにあって失くさざるを得なかったのだろう。駅名標の近くだったような気がする…?

福井鉄道・西武生駅(現・北府駅)のプラットホームと駅構内

 だけど、この工事に携わった人は、この枯池を見て何かを思ったのだろうか?
「へぇ~駅にこんな物があるんだ。こんな立派な庭潰すのは惜しいなあ…。」
「何で水が入ってないんだろう?」
仕事を進めながら、きっと少しくらいは何か感じるものがあったのだろう。寂しくフラットになってしまったプラットホームを見て、そんな事を思った。

[2008年(平成20年) 10月訪問](再訪時は市町村合併により越前市)

北府駅訪問ノート

 大正築の古色蒼然とした木造駅舎は取り壊される予定だった。しかしソフトバンクモバイルのCMで登場した事により古い駅舎の価値が見直され、一転、改修される事に。

 そして2012年駅舎の改修が完了した。加えて旧本社社屋が取り壊されパーク&ライド駐車場になるなど、周辺の風景もガラリと変わった。旧駅事務室は福鉄の鉄道用品が展示されるなどミニ博物館風に。

福井鉄道、大改修後の北府駅の木造駅舎と福鉄本社敷地
( 改修後の北府駅。(2012年) )

 改修前の北府駅の様子はこちらからどうぞ。
北府駅 (福井鉄道・福武線)~古色蒼然とした木造駅舎は生き残った…~

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