駅と駅舎の旅写真館-railwaystation.jp-

川平駅 (JR西日本・三江線)~桜咲く春爛漫の駅へ…~


三江線・川平駅へ再び…、春爛漫の風景

桜と木造駅舎の競演、三江線・川平駅。
( 桜と木造駅舎の競演、三江線・川平駅 )

 数年振りに、三江線の川平駅で下車した。…と言っても、土砂崩れのため三江線は半年以上もの長期不通となっていて、列車代行バスでの訪問だった。一時は全線不通だったが、訪問時は浜原-江津間が不通だった。
 今回は桜を目的にした再訪だ。期待通り、駅前やホームでは桜が満開だ。桜の木や駅舎には、賑やかに提灯が巡らされているのが目を引く。

 前夜、三江線代行バスに乗り川戸駅前の宿に向かう時、途中で川平駅前に乗り入れ停車した。するといくつもの提灯がぼうっと灯り、夜の闇の中、桜と駅舎が浮かび上がっている様が、息を呑む程幻想的で、まるで桜祭りが行われているかのような光景だった。だけど、元々利用客が少ない駅で、鉄道不通のせいもあったのだろうか…。祭りのような楽しげな雰囲気でありながら、まるで人が消え去ったかのような静寂に包まれ、そんな中、ひっそりと佇ずむもの寂しげな様にも強く心魅かれた。下車したい衝動に駆られ、シートから腰を浮かしそうになった。しかし最終の代行バスだったので、宿に辿り着けるかどうか不安に思う気持ちが、私を押さえ込んだ。

三江線・川平駅、こじんまりとした駅前の風景。
( こじんまりとした駅前の風景。)

 駅前の風景を眺めると、やはり大きな桜の木の存在感はすごいと感じる。

 駅前には、やっと車のすれ違いができる程度の細い道が通ってる。こじんまりとした集落の中にあり、周辺は緑豊かで、そして素朴な木造駅舎が残る。川平駅には、何十年も前の田舎の駅はこんな風だったのだろうと思わす風情に溢れる。

川平駅プラットホーム、長期運休でレールが錆びる。
( 長期運休でレールは錆び付く… )

 プラットホームに出てみると、赤錆びたレールが伸びている様に衝撃を受けた。列車が長い間、この駅に来ていない事を物語っている。まるで廃線のようだ。列車が戻ってくるのが待ち遠しい。

川平駅。廃止された反対ホームに残る跨線橋跡。
( 廃止されたホームには跨線橋の跡が残る。)

 前回訪問時と風景が何か違うなと思っていたら、跨線橋が撤去されていたのに気付いた。プラットホームが片面使用停止されレールも剥されていて、跨線橋は無用の長物となり、封鎖されていた。ホーム上に残る跨線橋の土台が、かつての様子を伝えていた。

川平駅、プラットホーム沿いの桜にも提灯が吊るされる。
( ホーム沿い桜にも提灯が・・・。)

 駅舎の正面だけでなく、プラットホーム上の桜にも提灯が吊るされていた。やはり、提灯の灯りに照らされた川平駅の夜桜をいつか楽しみたいものだ。

JR西日本・三江線、川平駅。ホーム側から見た駅舎全景。
( 駅舎ホーム側全景。)

 廃止された反対ホームに上り、川平駅の駅舎全景を眺めた。新建材等で大きな改修が施され事無く、比較的、原形を留めていると思われる。ただ、瓦屋根は、JR西日本山陰地区の改修された木造駅舎と同じ青色なので、葺き替えられているのかもしれない。そられの駅の青い瓦には、JRマークが入っているが、川平駅のものには無かったように思う。でも、いずれにせよ、落ち着いた色の青い瓦屋根は木の質感が十分なこの木造駅舎にはよく似合っている。

三江線・川平駅駅舎。趣き溢れる改札口付近。
( 改札口付近も趣きある雰囲気。)

 鉄パイプ製の改札口が残り、使い古された木製のベンチも置かれ、昔ながらの趣きをなおも醸し出す。窓枠も木製だ。

 ここ数年、何度か川平駅がCMや映画のロケ地として使われた。

 韓国の缶コーヒー「Maxwell」のCMでは、わざわざ隣国の地方小集落にあるこの駅が選ばれた。このCMの監督は、古くて雰囲気のある駅舎を探していたが、韓国国内では見つからず、ウェブ上で日本の駅を探していたら川平駅が目に留まったという。CMでは日本でも名の知られた韓流スター、チョ・インソンが出演し、ファンの間で大きな話題になっていた。

 映画「天然コケッコー」では、宣伝ポスターの撮影が川平駅で行われたとか。

 そして、2008年公開の映画「砂時計」では、辻岡駅として登場した。そのロケの様子や撮影裏話R西日本のウェブサイトなどで公開され、撮影の裏話も興味深い。
( JR西日本・Blue Signal (vol.132) ・あの風景を探して「砂時計」

 郷愁を誘う昔ながらの木造駅舎、緑豊かな風景、静かでこじんまりとした田舎の雰囲気を兼ね備えた駅は、昔の日本ならば、どこにでもあるありふれたのローカル線の駅風景だったのだろう。しかし現在では、そんな風景は年ごとに失われてゆき、かえって貴重なのだろう。

三江・線川平駅。駅舎待合室内部。
( 待合室内部。)

 駅舎内の待合室も、窓口跡が写真展示用のショーウィンドーに改修されている以外は、これと言って過度な改修がなされてなく、昔ながらの趣を保っている。古びているが、きれいに掃除され居心地がいい。

 桜、駅舎、そして周囲の長閑な風景が素晴らしく、一時間半程度の滞在では物足りないと思いつつ、代行バスに乗り川平駅を離れた。またいつかの春、訪れるようと誓いつつ…。


[2007年4月訪問](島根県江津市)

追記

 4年後の2011年桜満開の春、念願叶って夜の川平駅に訪れる事が出来た。その時の、日中から夜へと移りゆく桜風景を補完ブログに掲載。下記へどうぞ。
川平駅、ずっと見たいと思っていた春の風景~駅・桜旅2011~

JR西日本・三江線、川平駅の夜桜風景
( 三江線・川平駅の夜桜風景 (2011年4月) )

追記2: 三江線廃線

 2018年(平成30年)4月1日、三江線は廃止となった。

 廃線の1ヶ月前、川平駅では代替バス乗り入れのための工事が行われていた。まず駅前の桜の大木が伐採された。この桜の木は、三江線の開通を記念して植樹された桜だったという。同時に、駅舎の池庭や植込みも撤去・聖地された。そして駅前は舗装され、ロータリーが設置された。味わい深い風景の変化は、川平駅が川平駅でなくなっていくようで寂しい限りだ。ロータリーの真ん中には、かつて桜の手前に設置されていた、周辺案内の地図が移設されたが、かつての風景へのオマージュだろうか…

廃線後、駅舎は代替バスの待合所として利用されていて、旧駅事務室部分は地元の農業関連の団体が事務所として使う事になったという。


廃線を前にした、私の川平駅訪問記は下記の補完ブログ記事へどうぞ
三江線廃止前、最後の川平駅訪問の旅

駅旅、春の情景

谷汲口駅 (樽見鉄道)~桜の名駅~
側線跡やプラットホーム沿いに多くの桜が植えられる。(岐阜県)
大畑駅 (JR九州・肥薩線)
構内に桜が植えられ、近年は桜まつりも開催。(熊本県)
新垂井駅廃駅跡~廃駅花見~
東海道本線の下り専用の迂回線。プラットホーム跡に桜並木。(岐阜県)