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津軽今別駅と津軽二股駅~JR北海道とJR東日本の境界付近の3駅を訪ねる旅(1)


津軽二股駅=津軽今別駅?

 青森-函館間の津軽海峡線は、新規開業した中小国-木古内の海峡線以外は、既存の路線を活用している。青森‐中小国間は津軽線、木古内‐五稜郭は江差線、五稜郭-函館は函館本線が正式名称で、青函トンネルを介し、青森-函館間を結ぶ線の総称として津軽海峡線と呼ばれている。

 津軽海峡線のJR東日本とJR北海道の分岐駅は津軽半島にある中小国駅となり、中小国から北はJR北海道の線となる。そのため、周遊きっぷ・北海道ゾーンや、北海道フリーきっぷなどでは、中小国駅から有効となる。だけど、「JR北海道の」津軽今別駅や海峡線が津軽海峡を隔てた本州にあるのはどことなく奇異に感じる。海峡線の本州側の長さがそれほど長くないので、海峡線の起点からがJR北海道としたほうが区切りが良かったなど、何らかの理由はあるのだろうが…。

 当日、快速海峡に乗り、蟹田駅で下車し、津軽線の列車に乗り換えた。直接、津軽今別駅に入りたかった気もするのだが、この快速海峡は列車は通過してしまうので乗り、換えなければいけない。

 大平駅を出発し、トンネルを潜り抜けると、右手の方に途中で一端別れた海峡線の築堤が見えてきた。どんどん海峡線の築堤に近付き、青函トンネルの救護施設の建物が見え間もなくすると、海峡線と併走するように、津軽二股駅に到着、ここで下車した。

 プラットホーム横には駅舎ではなく、黄色く派手な建物「道の駅いまべつ」こと「半島ぷらざアスクル」が併設されている。津軽二股駅は1面1線のみの棒線駅で、築堤上を走る複線の海峡線と道の駅に挟まれ、肩身狭そうに影に隠れるかのように佇んでいる。3月という事で寒さを覚悟してきたのだが、北国の冬の割に暖かい。

 津軽二股駅プラットホーム端から階段を下りると、左手の海峡線築堤に「津軽今別駅」という看板が掲げられているのが見えた。海峡線の津軽今別駅だ。津軽二股駅はJR東日本の津軽線に属する、しかし津軽今別駅はJR北海道の所属となっている。このように津軽二股駅と津軽今別駅は、鉄道事業者は違うものの、同じJRの駅で、隣り合わせと言うか、同じ敷地に立地してると言っても過言でないながら、駅名が異なっているのだ。両駅は津軽線の踏切を渡ったシェルター状の屋根が付いた階段で結ばれている。乗換え時間にしたら2分もあれば十分な距離だ。

津軽二股駅と津軽今別は隣接している。
( こんなにも近接している津軽線・津軽二股駅と海峡線・津軽今別駅。)
津軽線・津軽二股駅プラットホームと道の駅「いまべつ」
( 津軽今別駅から見下ろした津軽二股駅と道の駅。)

 例えば、東京駅の場合、JR東海の東海道新幹線、JR東日本の東北新幹線や在来線の列車が何線も乗り入れている。このように、JRの場合、JR他社同士でも、ほぼ同じ場所あるなら、利用者側の視点からは同じ駅と見なせるものだと思う。にも関わらず、津軽今別駅と津軽二股駅はこんなに近接していながら違う駅名だ。これならば京葉線は、他路線と同じ東京駅として扱うにはかなり離れた位置にあるじゃないかと突っ込みたくもなる。

 それに、何といっても北海道より何十キロと津軽海峡を隔てた本州側の青森県に、JR北海道の駅があるのは、やはり奇異な感じがする。

 津軽今別駅は元々、信号所として設置される予定だったが、今別町の請願で旅客駅に昇格され開業となった。だが、停車する列車は少なく、今別町中心地から離れた家屋が少ない山里のような所にあるため、利用者は少ない。津軽二股駅の利用者も少なく、両駅足しても3桁には届かない。違う会社の路線ならまだ解るが、これほどまでに隣接しているJRの駅を、なぜ同じ駅名に合わせなかったのか不思議だ。「津軽二股」と地元の人しか解らないようなローカルな名前にするよりか、大動脈「津軽海峡線」にある今別町の駅として、町をアピールする意図があったなどと推測できるが…。

津軽今別駅・津軽二股駅、道の駅にある待合室
( 道の駅入口、風除室内部が駅の待合所となっている。)

 道の駅いまべつの入口を入った所に列車の待合所があり、木のベンチが置かれ、時刻表も掲示されている。北国独特の、寒さが屋内に入るのを防ぐため、玄関の扉を2重に設けて出来る空間「風除室」を間借りしていると言った感じだ。距離的には津軽二股駅の待合室と言えるのだろうが、津軽今別駅の時刻表もあった。

 道の駅の一部のため、ローカル駅にありがちな、鄙びて、掃除が行き届かないといった雰囲気は無く、清潔で明るい。更に奥に進むとお土産屋などがあるが、後で寄るのでさらりと見て外に出た。

津軽今別・津軽二股駅前、新幹線・奥津軽駅(仮)決定の看板。
( 新幹線駅設置決定をアピールする駅前の看板。)

 駅前に出ると、看板がでかでかと掲げられているのが目立つ。「青函トンネル入り口のまち」と書かれているが、何といってもその下の「新幹線奥津軽駅(仮称)決定!」と、誇らしげに書かれている方が目を強く引きつける。今は2002年3月。盛岡から青森までの東北新幹線延伸工事は着々と進んでいる。しかしそこから先は、将来的に開業する事は決まっているものの、着工には至っていない。海峡線や青函トンネルは新幹線規格で造られているが、新幹線がこの地を通るのはいつになるやら…。

 周りは雪景色だが積雪はそれ程でもなく、駅前の道路は雪が解け、歩くのに苦労しない。雪が積もりはっきりとは解からないが、周辺にはどうも駅前ロータリーと公園があるようだ。ロータリーには海峡線開通記念の時計塔がそびえ、公園の橋の欄干が雪の中から少し除く。駅から少し離れた所には、県道14号線を車が行き交う。

海峡線・津軽今別駅に上ってみる

 快速海峡4号がやってくる時間に合わせ、津軽今別駅のホームに向かおうと、シェルターに覆われた階段を上がった。上がりきってもすぐホームがある訳でなく、更に積雪を分ける約10mのアスファルトの通路を道を歩かなければいけない。階段を上がった所がすぐホームだといいのだが、この道の周りには雪に埋まった余計なスペースがある。このスペース下には、海峡線から分離した青函トンネルの救護施設へ向う線が2本通っている。そのために余計と思われるスペースが出来てしまったようだが、積雪の中からコンクリートが露出した部分が行き止まりの小さなホームを連想させ、ローカルに残る側線跡っぽい雰囲気がある。建設時は業務用の側線が作られる予定のスペースだったのかもしれない。今度、雪の無い時期に通る時、どうなっているのかじっくり見る事にしよう。

 そして、ほんの少し歩いて津軽今別駅のホームに到着した。2面2線の相対式ホームで、2、3畳程度の狭いログハウス風の待合室が上下ホームに対のように設置されている。ホームは長く、海峡線の長大編成にも対応している。青函トンネル入り口に近く、ホームは築堤上の高い位置にあり、周囲を見渡すと、雪の積もった山間部ののどかな風景が広がっていた。そして棒線駅の津軽二股駅を眼下に見下ろす様は、早くも新幹線駅の風格をまとっていた。

津軽今別駅を出る快速海峡4号
( 津軽今別駅プラットホーム。快速海峡が入線。)

 静かだった駅に警報が鳴り響き、構内通路の遮断機が降りた。しばらくすると、函館方から青函トンネルを出てきたばかりの快速海峡4号が入線してきた。青函トンネルの利用客も開業時のフィーバーは影を潜め、ここ数年は利用客が落ち込んでいるという。快速海峡はたった数両で走る日も珍しくないというが、この海峡4号は客車が6両以上連なる風格ある編成だ。

 自由席には多くの乗客が乗っていて、旅を楽しむ乗客が私に手を振ってくる。車体には津軽海峡線集客アップに努めるドラえもんのキャラクター達が、機関車を始めあちこちに散りばめられていた。

 海峡線には各駅停車が無いため、ほどんどの列車がローカル駅に過ぎない津軽今別駅を通過してしまう。快速海峡でさえ上り4本(うち臨時2本)、下りが3本しか停まらない。その津軽今別駅に停車する貴重な1本からは、意外にも、数人の乗客がこの辺鄙な駅で下車した。しかし、乗り換えで津軽二股駅で津軽線の列車を待つのではなく、迎えの車でそれぞれの目的地に散っていった。

津軽今別駅名標、JR北海道仕様だ。
( 津軽今別駅駅名標。JR北海道仕様だ。)