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沼ノ端駅(JR北海道・千歳線、室蘭本線)


沼ノ端駅訪問記と写真

 千歳線から室蘭本線へ乗り換えるため、沼ノ端駅で待ち時間が少々できた。5年ほど前にも、この駅にはふと降り立った事があり、その時の事は不思議とよく覚えていた。

 札幌‐函館を結ぶ北海道道内の主要ルートの一つで、その中の主要駅の一つ、苫小牧駅の東隣にある駅だ。主要駅の隣の駅というものは、利用客が少なく寂れた感じで、主要駅とのギャップを感じさせる駅が意外と多い。沼ノ端駅の訪問前もそんなイメージを抱き、まあローカル線の小駅なんだろうと思っていた。

 駅舎はコンクリート造りで、高度経済成長期に建て替えられた雰囲気の、ある種の昭和を感じさせるものだ。確かにやや寂れた感じがするものの、20人以上の人が札幌行きの列車に乗り込んでいく光景を目にし驚いたものだった。人々の道都、札幌の通勤圏となり、苫小牧市街地にも近く、住宅地として発展しているのだろう。


 その頃の駅舎は、街の南北を繋ぐ自由通路を兼ねる橋上駅舎に建て替えられた。新しい橋上駅舎は都市の駅にも劣らない威容を感じさせる。

沼ノ端駅ホームと自由通路
(沼ノ端駅プラットホームと自由通路。)

 沼ノ端駅は千歳線、室蘭本線が交わる要衝駅だが、実質的には苫小牧が乗換駅となっている。

 そして半世紀以上も昔は、国鉄の赤字ローカル線として廃止された富内線の始発駅でもあった。しかし、富内線…、当時の北海道鉱業鉄道金山線(後に、北海道鉄道)は、ほぼ日高本線と併走したいたため、1943年(昭和18年)11月1日に、戦時の不要不急路線として、沼ノ端‐豊城間が休止となり、代わりに日高本線の鵡川と金山線の豊城の間に新線が設けられ連絡させた。そしてその後、沼ノ端‐豊城間が復旧される事は無かった…。休止の3ヶ月前に北海道鉄道は国有化されていて、結果として沼ノ端‐豊城間は僅か3ヶ月だけの国有路線という奇異な道を辿った事になる。

沼ノ端駅、駅舎から見る街と周囲の風景。
( 駅から街並みを見る。)

 駅舎の中から街を見渡してみた。新しい家屋がいくつも建つ様が、新興住宅地の趣きだが、それでもまだ土地に余裕はあるように見え、ゆったりとした雰囲気だ。背後には樽前山など雪を被った山並みが望めた。

沼ノ端駅、駅舎・自由通路内。
(自由通路内部。)

 橋上駅舎は誰でも通行できる自由通路を兼ねている。供用開始から数年のためか、まだピカピカの新しさが残り、雰囲気は悪くない。無人駅で設備は自動券売機、ICカード・Kitacaのリーダーが取り付けられた改札口と至ってシンプルだ。

 だが冬でどうしようもなく寒さに震え上がる。がっちり壁で覆われても、コートを着ていようと、冬の北海道の寒さは防ぎようが無く、屋内の恩恵はあまり感じられない。それでも風が吹きつける外よりはマシで、みんな列車が来る直前まで自由通路で身をすくめ列車を待っている。暖房を入れてくればと思うのだが、無人駅で管理する人が居なく、またコストに見合わないのだろう。

沼ノ端駅駅舎。
(沼ノ端駅駅舎。)

 沼ノ端駅駅舎。でも橋上の施設を含めての駅舎なので、この部分は入口・ゲートと言った方が正確なのだろう。こちらは南口で、北口もほぼ同じ造りになっている。

 ガラス張りの新しい建物は、今どきの駅舎で大都市都心の駅の趣だ。右側の黒い部分はエレベーターが組み込まれている。鳥が羽ばたいている様子が図案化され、その上にJR沼ノ端駅と書かれ、外光をいっぱい採り入れられるガラス張りの駅舎と共に、駅を明るいイメージを与えている。この駅名看板的なものの下部をよく見てみると、「自由通路・特急停車記念」のプレートが取り付けられている。どうやら新駅舎完成と特急停車を記念したモニュメント的存在でもあるようだ。

 きれいでいいのだが、大柄の駅舎の割に無人駅で、中に店舗や何か施設が入居している訳ではない。正直、無駄に仰々しいと思わずにはいられなかった…。でも、駅周辺の人口が増え発展するにつれ、レールに分断された街を繋ぎ、また南北のどちら側からでも駅を利用しやすくする事は急務だったのだろう。

今も残る沼ノ端駅旧駅舎。
(隣りには旧駅舎も残る。9

 新しさを感じる橋上駅舎の横に、コンクリート造りの旧駅舎が残っていた。だが、かつての出入口は完全に塞がれている。なんでこの駅舎を取っておくのかと不思議だ…。駅本屋でなくなっても倉庫として使われているのだろうか。

沼ノ端駅ホームの駅名看板。
(プラットホームには特急すずらんの停車位置が示されている。)

 列車が近いのでホームに降りた。駅は新しくなっても、電柱に取り付けられた、サッポロビールのロゴ入り駅名ホーロー看板は、やはり北海道の駅らしさを感じる。

 そしてやはり特急すずらんの停車位置案内は目立つ。

沼ノ端駅に入線した室蘭本線の単行列車
(岩見沢行きの単行列車が入線。)

 待ちに待った室蘭本線の岩見沢行きが入線してきた。賑わう千歳線直通列車のに反し、長いホームに入線してきたのは単行の気動車だ。この駅から乗ったのは私ひとりだけだった。


[2012年2月訪問]

沼ノ端駅・基本情報+

鉄道会社と路線:
JR北海道・室蘭本線、千歳線
駅所在地:
北海道苫小牧市沼ノ端
駅開業年月:
1898年(明治31年)2月1日。北海道炭礦鉄道の駅として開業。※現在の室蘭本線区間。
富内線区間の駅としては、1922年(大正11年)7月24日 北海道鉱業鉄道・金山線の駅として。
千歳線区間の駅としては、1926年(大正15年)8月21日 、北海道鉄道・札幌線の駅として。
北海道炭礦鉄道は1906年(明治39年)10月1日に国有化。
北海道鉱業鉄道は1924年(大正13年)に北海道鉄道に社名変更、そして1943年に国有化され、現在の線名になった。
駅舎竣工年:
2007年
駅営業形態:
無人駅

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