駅と駅舎の旅写真館、Homeへ

学校前駅 (名鉄・広見線)


2005年の名鉄、華やかな話題の陰で…

 2005年の名鉄は、1月29日に、常滑‐中部国際空港間の空港線の開業、空港への特急「ミュースカイ」の運行、「新名古屋→名鉄名古屋」などいくつかの駅の名称が変更されるなど、華やかさや次世代への躍進を期待させる何かと変化のある年である。

 その影で、岐阜の600V線区、いわゆる岐阜市内線が今年の4月1日に全廃される。そして、1月29日のダイヤ改正の前日に、名古屋本線の東笠松駅、広見線の学校前駅がひっそりと廃止される。

 両駅廃止の理由はお決まりの利用者の減少だ。「減少」と言っても、両駅とも1日に100人程度の利用はあるそうだ。日本全国にはもっと利用者が少ない駅がゴロゴロしているのに、これで廃止されてしまうのかと疑問もある。しかし、一律に同じ基準で見るのは無理があるし、会社や地域によって事情は異なるのだろう。名鉄は業績が決して良いとは言えないので、ローカル区間の廃止を進めたり、鉄道以外でも、不採算事業の整理を進めているので、尚更、不採算なモノを排除していく必要があるのだろう。

 東笠松駅には2年位前に訪問した事がある。木曽川の鉄橋横にあり、幹線の名古屋本線上にありながら人気も少ないひっそりとした駅で、秘境駅に通ずるものがある印象的な駅だった。だが、学校前駅はまだ訪問した事が無かったので、駅が健在な内にと思い出掛けた。 

学校前駅訪問記

 新名古屋駅から列車を乗り、新可児で御嵩行きの2両の列車に乗換えた。接続は良く、数分の待ち時間で列車は動き出した。新可児駅は広見線でも比較的乗降客が多い駅で、JR太多線の可児駅にも隣接している。車窓からは、スーパーなどの郊外型の店舗も見え、そこそこの規模はある街のように見えた。だが、そんな雰囲気もすぐに終わり、僅か数分走ると、のどかさを感じるローカル線のような雰囲気になる。そして、学校前駅に停車した。私以外に、この列車への乗降な無かったが、駅には同好の志1名と、新可児方面行きの列車を待つ中高生風の二人連れが居た。

学校前駅(名鉄広見線)の上屋
(名鉄広見線・学校前駅。上屋があるだけの簡素な設備。)
名鉄広見線・学校前駅。廃止を告げる看板
(上屋の壁には、駅廃止の看板が掲げられていた。)

 駅は、単線にホーム1本のみの典型的なローカル駅の構造だ。駅舎と言う立派なものは無く、簡素な上屋がホーム上にあり、その下に作り付けのベンチがあるだけという、駅としての最小限の設備しかない。その上屋の壁には、駅廃止を告げる大きな看板が掲げられていた。

 駅前に広場のようなスペースは無く、歩道に沿ってホームが設置されていて、歩道に沿う道路との密着感が煩わしく感じる。のどかな眺めとは裏腹に、ひっきりなしに車が行き交いうるさい。駅前の歩道の柵には、駅利用客のものと思われる自転車が数台置かれていた。

 突然、周囲に踏切の音がうるさく響いた、駅に掲示されていた時刻表には無い列車だと思い、どんな列車が来るか注目したが、2両の普通列車だった。ああ、そう言えば、日中は普通列車でさえ、約半数はこの駅に停まらなかったなと思い出した。

学校前駅の道路
(駅前の交通量は結構多い。)
学校前駅、駅前の自転車
(駅利用者のものと思われる自転車がぽつりと置かれている。)

 車が途切れるのを見計らい、道路の反対側に渡った。渡った側には、広見市民運動場があり、数名の高校生がサッカーの練習に明け暮れていた。

 学校前駅は近辺に学校が無いのに学校前という名称がついてる珍駅として知られていたが、この運動場こそが、駅名に深く関わっているのだ。元々、この場所には小学校があったので、駅は学校前と命名された。しかし、小学校が別の場所に移転してしまい、跡地が運動場になったが、駅名は変えられる事無く、時が過ぎてしまった。実態にそぐわない名称を放置するのは好ましくないが、一地方都市の利用者が少ない一ローカル駅だから、名称変更に伴うコストを惜しんで、あえて変える事をしなかったのだろう。

 1月29日のダイヤ改正で「ナゴヤ球場前→山王」、「新名古屋→名鉄名古屋」と、駅名称変更される駅がいくつかある。これなら学校駅前も駅名を変更して存続させても良かったのではと思う。にも関わらず廃止の道を取らされるのは、明暗を分けた感が強い。

広見市民運動場
(駅側にある広見市民運動場。実は駅名に深く関わっている…。)

 駅周辺は畑が多く、少し遠くには山が連なるのどかな風景が広がる。しかし、人家や建物も程々にあり、車の通行も多く、田舎という程のローカルさは無い。

 しかし、ホームの目の前には畑が広がっている。周囲に高い建物は無く、駅の周囲は開放的で広々とした風景が広がっていた。

ホームと駅前の畑
(プラットホームからの風景。)
学校前駅ホーム
(駅には利用客の姿が…。)

 日は徐々に西へと傾き、駅に長く影を伸ばしている時、ホームに1人の利用客が現れた。約1時間、この駅に居たが、数人ながら各列車に利用客がいたのは意外だった。廃止になる位だから利用客なんてほとんどいないだろうと想像していた。

 暖冬気味とは言え、冬空の下、夕方が近付く吹きさらしの駅でじっと列車を待つのは辛い。身を縮めホームをあてもなく歩きながら、列車が来るまでの時を過ごした。

 1時間程滞在の後、常滑行き急行(と言っても犬山までは各駅停車)に乗って学校前駅を後にした。

 学校前駅は無人駅なので当然切符は買っていなかったが、新可児駅で数分の停車時間を利用して、精算窓口で学校前駅から乗車した事を告げ、新名古屋駅までの運賃の精算をお願いした。適当な精算済みの切符が出てくるのだろうなと思っていたのだが、しっかり「学校前」と大きく印字された切符が発券されたのを見て、少々驚いた。

学校前駅からの切符
(新可児駅で発行してもらった学校前駅発の乗車券。)


[2005,1月訪問](岐阜県可児市)