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玉柏駅(JR西日本・津山線、木造駅舎)

目次
たった5分という貴重な観察時間
再訪、玉柏駅細見
玉柏駅基本情報まとめ
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たった5分という貴重な観察時間

 津山線の岡山行きの列車に乗った時、5分程度、玉柏駅で交換待ちの時間があった。私が乗った列車は、駅舎側での停車だった。幸運と思い、それなら駅舎でも見ようと車外に出た。

津山線・玉柏駅の木造駅舎。半分の大木さに改修。
( 玉柏駅の木造駅舎。半分の大木さに改修された。)

 玉柏駅では、古さ漂う木造駅舎が現役だ。しかし、明らかに小さい。合理化で無人駅となっていたので、改修の際に不要な駅事務室部分が取り壊され、待合室部分のみを残し、半分の大きさに改修されたのだろう。

 しかし、駅舎を一周する見事な軒が造られた。小振りな駅舎が、レンガ色の瓦を敷いた屋根をまとっている様は、大きな傘を広げているかのようで、駅舎のコンパクトさがより強調されている。壁は茶色く塗られた木材の部分と、白い漆喰で仕上けられている。

 改修前の玉柏駅は写真でしか見た事は無い。しかし、今でも昔ながらの木造駅舎の趣きは十分に残されているいると感じる。原形を大きく失ってはいるが、改修後の方が、よりユニークで印象的のような気がする。

ホームから見た玉柏駅駅舎。
( ホームから見た駅舎。)

 この駅の1日の利用者数は約100人位との事。この位なら、この大きさでちょうどいいのだろう。でも、ローカル線で次第に勢力を伸ばしつつある、味気無い簡易駅舎に建て替えるという選択肢もあったはずだ。取壊しと新築よりコスト面で有利なのかもしれないが、あえて古い駅舎のイメージを保ったまま改修するのは英断と言うべきで、苦心したものだろう。

 大きな軒の下には、自転車が多く止められている。駅により近く、雨に濡れない所に自転車を置きたい気持ちはわかる。この軒は駅の趣きを醸し出すのに一役買っているが、もし駐輪場としての利用を想定して、軒を復元したのなら凄いなと、実用と趣きを両立させた設計者のアイディアに対して感服するしかない。なにはともあれ、玉柏駅は古い駅舎改修の好例と言えるだろう。

 今回は僅か5分しかなく、駆け足でしか見る事ができなかったが、それでも印象は深く刻み込まれた。また訪れ、じっくりと見てみたいものだ。


[2003年8月訪問](岡山県岡山市)

再訪、玉柏駅細見

 2011年7月に玉柏駅を約8年振りに再訪した。偶然、見る事ができた前回とは違い、今度はじっくり見よう。

津山線・玉柏駅、2面2線の相対式 プラットホーム。
( 2面2線の相対式 プラットホーム。)

 駅構造は2面2線の相対式だが、駅舎側の2番線が1線スルー化されている。

玉柏駅の木造駅舎、ホーム側。
( 1番ホーム側から駅舎を見る。)

 反対の1番ホーム側から駅舎を見てみた。ほぼ正方形の床面で、駅舎をぐるりと一周、各方向に同じように軒が巡らされているため、一見すると、どの方向からでも似たような印象を受ける。

津山線・玉柏駅の木造駅舎。
( 玉柏駅駅舎。)

 そして、正面にまわり、8年振りに玉柏駅の木造駅舎に対峙した。駅が開業した1898年(明治31年)以来の駅舎との事。改めてみると、上手く改修したものだと感慨さえ覚える。形態的に、本格的な旅客駅舎から簡易駅舎に生まれ変わったと言えるのだろう。

玉柏駅、駅舎横の池庭跡。
( 枯れた池の跡が残る。)

 駅舎の右横の植え込みのある一帯に、枯れた池の跡が残っていた。いつまで水が注がれていたのだろうか…?

玉柏駅待合室。大きく改修されている。
( 待合室内部。こちらは徹底的に改修されている。)

 駅舎の内部に入ってみた。今では待合室の機能しかなくシンプルそのものだ。

 外観は昔の趣がふんだんに再現されているが、こちらは天井から床まで徹底的に改修され、木造駅舎の中に居るという気分がしない。

玉柏駅駅舎、ホーム側には古い作り付けの木造ベンチが残る。
( ホーム側の作り付け木製ベンチは、古いものを使いまわし質感の違いが際立つ。)

 駅舎のホーム側に立ち眺めると、あっけないほど短い駅舎に、ミニチュアの木造駅舎に居る気分だ。

 壁の木材は部分によっては新しく張り替えられている。しかし、木製の作り付けベンチは使い込まれた質感が目を引きつける。明治の開業以来…、そうでなくても何十年という長い年月、この駅の乗降客が座り使い古したベンチだ。

玉柏駅、古い木の部材を使いまわした軒下
( 駅舎正面の軒下。)

 軒や柱も古びた質感が目に入った。改修以前から使い込い継がれている部材なのだろう。

玉柏駅、駅舎を削り取った側には新しい軒が作られた
( 駅舎左側の軒はまだ木の新しさが漂う。)

 だが、駅舎左側部分の軒は、改修から10年過ぎているにも関わらず、木の新しさをまだ残していた。柱もまだ角が取れていなく、鋭いとさえ私の目に映る。

 否…、これでも10年の時は、この軒の木材に少しの深みを加えたのだろう。でもあどけなさを残る明るい茶色は、深く渋みが刻みこまれたような他の部分の軒とは明らかに違う。この違いこそが、今の姿に改修される際、駅舎左側が削ぎ落されたのだと私に教えてくれた。

 軒下には相変わらず、多くの自転車が停められていた。


[2011年7月訪問]

玉柏駅基本情報まとめ

会社・路線名:
JR西日本・津山線
駅所在地:
岡山県北区玉柏1325
駅開業日:
1898年(明治31年)12月21日 ※中国鉄道本線として。1944年(昭和19年)国有化。
駅舎竣工年:
1898年(明治31年) ※駅開業以来の駅舎。
駅営業形態:
無人駅

改修で縮小された木造駅舎

南久留米駅 (JR九州・久大本線)
※こちらもいい雰囲気に改修されている。(福岡県)
新旭川駅 (JR北海道・宗谷本線、石北本線)
※約半分の大きさになったが、それでも大きい…。(北海道)
渡島沼尻駅 (JR北海道・函館本線砂原支線)
※元々信号所で、業務用の建物の一部を待合室に。(北海道)