駅と駅舎の旅写真館・home

上白滝駅(JR北海道・石北本線、木造駅舎)

目次
秘境駅集団!?白滝シリーズの頂点に立つ駅!?
白滝駅から歩いて上白滝駅へ
1日1往復しか列車が来ない秘境駅を堪能
追記: その後の上白滝駅
上白滝駅基本情報
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秘境駅集団!?白滝シリーズの頂点に立つ駅!?

 北海道のJR石北本線、下白滝駅‐上川駅間の約50kmの区間内には、下白滝駅、旧白滝駅、白滝駅、上白滝駅、奥白滝駅と、白滝と名の付く駅が連続し、いつしか「白滝シリーズ」と称されるようになった。奥白滝駅こそ2001年に旅客廃止、信号所に格下げになってしまったが、それでも4駅白滝と連続する様は異様で、白滝シリーズの面目は十二分に保っている感はある。

 しかし、これらの駅で、白滝駅以外は、停車する列車はとても少ない。そして、沿線では過疎化が進み人口が減少していて、秘境駅と言えるような駅ばかりだ。白滝駅こそ、白滝村が遠軽町と合併する2005年までは村の中心駅で、平成元年(1989年)に改築された立派な駅舎があり、駅前にそこそこの街並みが形成され、一部の特急列車が停車する。しかし無人駅化されているので、状況は推して知るべしと言った所だろう。

 その中でも、上白滝駅は列車本数が朝の遠軽行きが1本、夕方の旭川行きが1本…、つまりは上下各1本、1日1往復と言う究極の少なさで、白滝シリーズの駅の中でも突出した存在感を放っている。

 なので、列車での到達は困難を極める。しかし、上白滝駅の西隣の白滝駅との駅間は3.3kmと歩けなくも無い距離で、駅間徒歩で比較的楽に到達できそうだ。東隣の上川駅からだと約34kmもの距離がありで、峠越えという厳しい道なので、徒歩での訪問はほとんど不可能と言える。なので今回の上白滝駅訪問は、白滝駅から徒歩で目指す事にした。国道333号線がほぼ石北本線に沿っているので、道は間違え様が無いだろう。しかし、5月とは言え、道東ではついこの前まで雪が降り続いて、積雪状況が気になっていた…。

白滝駅から歩いて上白滝駅へ

 下白滝駅に訪問した後、列車で白滝駅に到着した。そしてしばらく写真を撮影するなどして過ごし、上白滝駅に向けて歩き出した。

国道と石北本線のレールを見ながら上白滝駅へ
(国道333号線を石北本線沿いに歩き上白滝駅へ…)

 白滝駅前から十数分歩くと、もう人家や建物はまばらとなり、山林を切り開いた国道333号線をひたすら歩き続けた。時々、ダンプカーやトラックが飛ばしてゆくが、交通量はさほどでもない。意外だが、時折左手に見える旭川紋別自動車道の影響も大きいのだろう。専用の自動車道だが、現状、ほぼ全区間が無料なため、短距離の移動でもそちらに流れやすいのだろう。

 交通量の少なさに加え、歩道がしっかりと設けられているのも安心だ。駅間徒歩をしていると、道路脇に申し訳程度に白線を引いただけの狭い歩道も珍しくない。そんな所では、私の真横を飛ばす車に常に神経を使わなければいけない。そう思うと、天と地の差ほどの安心感がある。

 心配していた積雪もほとんど無かった。しかし、まわりの山々はまだ雪を被り、そして空気はほのかにひんやりしている。やはりこの地に春の便りが届くのは、まだ先になりそうだ。

国道333号線、上白滝駅前の集落付近。
(集落が見えてきた。)

 途中で白滝温泉のホテル、合気道ゆかりの地記念碑などを見ながら歩き続けた。そして、遠く道の先の方に建物が点在する地帯が見えてきた。やっと人里だ。あの辺りが上白滝駅前の集落なのだろうか…?

 そんな風景の中、私の数百メートル先を歩く人の姿が目に入った。あれ…、こんな所を。地元の人?もしかしたら同じ駅巡りの人?!しかし、途中で見つけた上白滝神社を見ている間に、その人の姿は消えていた。

上白滝駅到着、1日1往復しか列車が来ない秘境駅を堪能

国道から見る上白滝駅と周辺の風景。
(国道からすぐの上白滝駅前。)

 そして、その集落の中に差し掛かった。人家の他、牛舎らしきもの、小さな商店など10軒ばかりの建物がゆったりとした間隔で点在している。山間の長閑な田舎風景だ。その中の国道から右手の少し奥まった所に、上白滝駅の駅舎が見えた。

石北本線・上白滝駅、迎える列車は1日上下1本づつ…
(上白滝駅の木造駅舎。迎える列車は1日1往復…。)
上白滝駅、木の質感豊かな外壁。
(近づくと古びているのがよくわかる)

 白滝駅から1時間弱の徒歩の後、ようやく上白滝駅に辿り着いた。サッシ窓に替えられていたりなど、改修箇所が目に付くが、それでも使い込まれ渋い色を帯びた外壁が古い木造駅舎らしい雰囲気に溢れ趣き深い、1時間歩いて来る価値があるだけの駅舎だ。駅開業の昭和7年(1932年)築という歴史を感じさせる。

 白滝シリーズでは、下白滝駅にも古い木造駅舎が残っている。内部の待合室は昔のままの造りを留め趣き深かったが、車寄せが撤去され、外壁の補修箇所が目立つなど、外観は満身創痍と言った雰囲気で、やや痛々しげな印象だった。

上白滝駅、車寄せと笠付き裸電球。
(軒下の笠付き裸電球)

 駅の出入口の上には柱の無い小さな車寄せが付いている。車寄せも外観同様使い古した木のままで、丸い笠付きの裸電球が付いている。レトロ感漂うこんな小さな屋根でも、まるで木造駅舎というタイムマシンに誘われているかのような不思議な気分にさせられる。

上白滝駅駅舎、待合室。
(上白滝駅待合室)

 中に入ると、まず頭上を横切るストーブの煙突が目に入った。無人駅となり、もう何十年もつかわれないままなのだろう…。すっかり錆びきっている。内部は窓口跡など、改修の跡があるものの、比較的、昔の雰囲気を留めているように思える。そして思ったよりきれいだ。1日1往復の列車しか来ないとは言え、掃除など手入れもされているようで、荒んだ雰囲気はしなかった。

上白滝駅、手小荷物窓口跡。
(手小荷物台に並べられた本)

 出札口跡、手小荷物窓口跡は無人駅となり改修され塞がれてしまった。しかし、後者の受付台はペンキが厚く塗られてはいるが、木造のままでよく原型を留めている。台の上には漫画や小説など十数冊の書籍が置かれ「上白滝駅文庫」の風情だ。これだけあれば、帰りの列車を待ちつつ、この駅で1日過ごせそうだと思った(笑)

上白滝駅の列車時刻表。1日上下1本ずつしか停まらない…
(1日1往復の時刻表。)

 そして手小荷物窓口跡の壁には、上白滝駅の列車発車時刻表が掲示されていた。下りが7時4分に来て、次の列車が上りの17時8分、上り下りとも1日1本…。空白ばかりが目立ち、10時間と14時間の間隔はとてつもなく長い…。

上白滝駅、古い木製長椅子
(古い木製ベンチ)

 出札口跡の前には古めかしい木製のベンチが置かれていた。ずっとこの駅で使われ続けたものだろうか?全体的に黒ずみ腐っているのではないかと思わせる風体だ。ちょっと座っただけで、私の重みで崩れてきそうで、遂に座る事は出来なかった。手で押した限り、頑丈で大丈夫そうだったが…。

上白滝駅駅舎とプラットホーム。
(上白滝駅駅舎とプラットホーム。)

 上白滝駅駅舎をプラットホーム側から眺めた。一面一線の棒線駅だ。ホームは砂利敷きでローカル線の秘境駅らしい野趣溢れる雰囲気だ。

上白滝駅を通過する特別快速きたみ

 そして下りの特別快速きたみが通過していった。上白滝‐上川間では、各駅停車の下各1本を除けば、特急列車ではないという意味で、この区間を走る唯一の普通列車だ。

上白滝駅前、集落の建物。
(駅前の集落。)

 上白滝の駅前は、意外な程、人の気配がした。何かの工場が隣接していて、作業の気配が伝わってきた。ある家屋の煙突からはもくもくと煙が立ち昇っていた。

 そして国道沿いの商店はなんと現役だ!上白滝駅のような秘境駅に限らず、ローカル線の駅前商店は店じまいしている所も多く、その痕跡だけが残り侘しさを募らせる事も多い。ここも過疎が進んでいる事に変わはりないのだろう。しかしいつまでも、このこじんまりとした田舎の駅の原風景を留めていて欲しいものだ。

上白滝駅、古い木造トイレ
(古い木造トイレも現役。)

 そして、1日1往復の秘境駅でありながら、別棟のトイレが現役だったのも驚きだった。駅舎同様、中も外も骨董品級の古めかしい造りだったのが印象的だ。中は当然、汲み取りだ。しかし、意外なことに奇麗に掃除され、ひどく不快という程でもなかった。

上白滝駅駅舎、ホーム側
(ジャッキで支えられる軒。)

 駅舎ホーム側の軒を見ると、鉄パイプ状のジャッキで支えられているのに気付いた。築80年となり、人に打ち捨てられたも同然の今、だいぶガタが来ているのだろうか…?

上白滝駅に入線する1日1本の上り列車。
(夕刻、唯一の上り列車が入線。)

 太陽が沈もうとしている頃、上川行きの列車が入線してきた。この1日1本の列車に乗車したのは私だけで、そして下車した人も居なかった。

 二十年程前、既に今のようなダイヤになっていたある日、偶然にも上白滝駅の地元利用者の方と乗り合わせた事がある。

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 ある年の夏、上りの上川方面行きに乗った時、鉄道ファンばかりだった車内に、1人だけ旅人の雰囲気とは違った初老の男性が乗っていた。その方が上白滝駅でひとり下車したのを見て、こんな駅でも利用者がいるのだと驚いたものだった。

 翌朝、上川駅から下りの始発普通列車に乗った。乗客は私だけだった。そして上白滝駅に停車すると、あの男性がまた乗ってきたのだった。その光景を見て、昨日の事を思い返した。きっと、この列車で出掛け、夕方の列車で帰ってくるのだろう。たった一往復になっても、この方にとっては列車と…、そして上白滝駅はかけがえの無い大切なものなのだと深く心に刻まれたものだった。

 私も昨日の今日だったが、おじいさんにとってもそうだったのだろう。私の事を覚えていて、「あなた、昨日も乗ってたでしょ?」と声を掛けられ、不思議と嬉しさを感じだ。そして、二、三、言葉を交わした。何を話したか今となってはほとんど覚えていない。だけど、遠軽に出かけると言っていたような…。
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 夕刻、上白滝駅から離れゆく列車の中で、昔のそんな事を思い出していた。


[2013年5月訪問]

追記: その後の上白滝駅

 2015年7月22日、JR北海道が遠軽町に、同町内にある上白滝駅、下白滝駅、旧白滝駅の3駅を来年2016年3月のダイヤ改正で廃止する意向と伝えたと、北海道新聞のウェブサイトが報じた。JR北海道は経営建て直しのため、利用者が非常に少ない数十の無人駅を廃止する方針を公表していた。

 JR北海道の方針を受け、遠軽町は上白滝駅に関しては、今後、通学での利用が見込まれる子供が駅近辺に住んでいる事から、存続を要望しているという話があった。

 しかし2015年12月18日、JR北海道から平成28年(2016年)3月26日のダイヤ改正において、上白滝駅をはじめとした白滝3駅など利用が極端に少ない8駅を廃止する事が正式に発表された。廃止駅の最終営業日はダイヤ改正前日の3月25日となる。

 廃止が迫った2016年2月、上白滝駅を含む白滝シリーズ4駅への惜別の旅をした。雪景色の上白滝駅再訪記はは補完ブログ・Solanoの鉄旅駅旅ブログに掲載。以下へどうぞ。
廃止直前!冬の上白滝駅を楽しむ~3駅廃止目前!冬の白滝シリーズ制覇の旅(2)~


 廃止から2ヶ月半が過ぎた6月中旬、遂に上白滝駅駅舎の取壊し作業が始まったと報道された。記事の中では、上白滝駅と同日に廃止された石北本線の下白滝駅と金華駅の駅舎は、除雪作業員の休憩所として今後も残存する事も付け加えられていた。


上白滝駅・基本情報+

鉄道会社と路線
JR北海道・石北本線
駅所在地
北海道紋別郡遠軽町上白滝
駅開業年
1932年(昭和7年)10月1日
駅舎建築年
1932年(昭和7年)※開業以来の駅舎。
駅営業形態
無人駅
その他
駅前商店の品揃えはいま一つなので、食品の類は事前に用意した方がいいいかも。