築城駅(JR九州・日豊本線)~幸運の枯池!?~



鶴と亀が見つめあう…

 日豊本線の下り列車に乗っていると、築城駅に停車した。何気に駅舎の方を見ていると、上りホームで鶴と亀のが向かい合っているのに気づいた。そしてその周りが窪んでいた。明らかに枯池だ!初め、この駅で下車する予定は無かったが、シュールな佇まいに激しく魅かれ下車しようか迷い一瞬は思いとどまった。しかし、どうしても見過ごす事が出来ず、荷物を鷲掴みにすると、急いで車外に飛び出した。

JR日豊本線・築城駅、駅舎横の枯池

 跨線橋を渡り、駅舎に面した1番ホームに着くと、目の前に木々が豊かに配置された枯池があった。駅への出入りには必ず、この枯池の前を通らなければならなく、かなり目立つ存在に違いない。

JR九州日豊本線・築城駅、駅舎側1番ホーム上の枯池

 枯池は木造駅舎など古い駅舎とともに残り、日本庭園風の造りをしているケースが多い。しかし、この築城駅はコンクリート駅舎だ。池のまわりに木々がふんだんに植えられているものの、コンクリートの縁取りの直線的な形をしていて、動物園か植物園の展示施設っぽい雰囲気を醸し出している。そのためかコンクリート駅舎との違和感も無い。現駅舎は昭和30年築なので、それと同時かそれ以降に造られたものなのだろう。

JR九州日豊本線・築城駅の枯池、亀の置物

 池から水が無くなった現在も、築城駅に住むカメ。コンクリート造りで、黄色い甲羅というのが毒々しいが、結構リアルな雰囲気。

JR日豊本線・築城駅枯池、鶴の置物

 そして、鶴だ。少し劣化していているが、こちらもなかなかリアルだ。

 鶴と亀はまるで見つめ合っているかのように、お互いの方を見つめている。次の瞬間、どんな言葉を交わすのだろうか…。いや、お互い正面を向き合い微動だにしないのが、睨み合いをしているかのような緊張感も漂わし、次の瞬間いきなり取っ組み合いの喧嘩でも始めてしまうのだろうかとも思える…。

 近くで駅員さんが跨線橋の掃除をしていたので、なんでこんな池があるのかと聞いてみた。すると
「いや~随分前からあるようだけど、知らないですねぇ。 でも、鶴と亀ってめでたいものだから…」
と、全く解らない様子だった。

 でも、鶴と亀は確かに縁起物だ。もしかしたら、この駅の平穏な日々と利用する人々の幸福を願って、池にこんなおめでたいものを添えたのかもしれない。なので、決して喧嘩などするはずも無いだろう(笑)

[2007年(平成19年) 6月訪問](福岡県築上郡築上町)

築城駅訪問ノート

JR九州日豊本線・築城駅、コンクリート平屋の駅舎

 平屋のコンクリート駅舎は1955年(昭和30年)築。

 高度経済成長期の1954年(昭和29年)から1970年(昭和45年)、国鉄の中小規模の駅では駅舎が建て替えられる際、無機質でシンプルな長方形のコンクリート駅舎になる事が多かったようだ。築城駅はそんな「高度経済成長期の国鉄型駅舎」の初期のものと言える。とは言え、築後半世紀以上過ぎているので、所々に現代的な改修も施されている。

 駅北側には航空自衛隊築城基地が広がる。11月下旬の築城基地航空祭の時は、特急列車が臨時停車するなど駅はとても賑わうという。

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